最恐毒親本登場!?『父という檻の中で』レビュー

記事の画像はイメージです。特定の人物を指すものではありません。

      2017/05/26

この記事を読むのにかかる時間: 556

毒親、いわゆる『子供の毒になるような親』には『家族という狭いコミュニティだからこそ見逃された犯罪者』が数多くいます。

毒親という言葉でくくってはダメなタイプの親の下で育つということは、正常な成長の妨げになることもしばしば。

その中でもとびっきりの、想像するだけでもぞっとするヤバいお話を見つけたので紹介しようと思います。

宗教というかある思想にのめりこんでしまい、数十年越しで理想を叶えようとする怖い父親を持つ少女のお話です。

スポンサーリンク

父という檻の中で-モード・ジュリアン著

今回紹介する毒親本は『父という檻の中で』という本で、著者はフランス人セラピストのモード・ジュリアン氏です。

フランスでは2014年に出版され、日本では2016年2月に出版されました。

実際のモード・ジュリアンさんはこちら↓知的な雰囲気の漂う美人ですよね!

モード・ジュリアン,父という檻の中で画像出典:https://www.youtube.com/watch?v=LEcLa64s1a0

さて、そんな彼女が体験した『父という檻』のヤバさをレビューしていきます。

基本的に、技術的な点で毒親から逃げる方法などを書いている話ではないので、あくまでも小説として楽しんでくださいね♪

 

父という檻のココがヤバい!

厳格で、残酷で、強靭で、恐れることなく揺るぎのない人間を育てること

それが私の教育方針だ。

(父という檻の中で-p.60)

すべてはこの言葉の通りに展開されていきます。

 

父のヤバさ1.妻を育てる

毒親,エリート,虐待,本,おすすめこの父の何が怖いって、娘(モード)を超越者にするために妻から育てていること。

なんとわずか6歳の少女を引き取って教育を受けさせ、妻にし、娘の教育のために使うんです。

そのため、作中ではモードの母親の揺れる感情も垣間見られます。

自分を利用した夫への恨み、その夫の超越者教育を受ける娘への妬み、フラストレーションがごちゃまぜになって、なんとも表現しがたい存在感を放っています。

 

父のヤバさ2.本気であること

遊び半分や自分の憂さ晴らしのために虐待する親も当然悪いです。

ですがこの父は、本気で、本心からこの世界を変えようとしているあたりがゾッとします。

信じ切っている人特有の後先と限度を顧みない教育について読んでいると、どことなくオウム真理教や人民寺院の事件を思い出してしまうくらいです。

 

父のヤバさ3.意志の訓練

毒親,父という檻の中で,本,おすすめ今まで私が読んだ虐待本の中でも特にひどいと感じたのは、『ローラ、叫んでごらん』という本の主人公がフライパンで焼かれてしまう場面。

それに匹敵するのが今回の『意志の訓練』です。

強靭な超越者を育てるために、モードの家では意志の訓練が行われます。

名前だけ聞くと何となくまともそうにも見えるこの訓練、実態は子どもに飲酒させたうえ酔わないことを強要したり、真っ暗闇に閉じ込めて瞑想させたり、電気柵を握らせたりすることのみで構成されています。

センショーナルかつ刺激的なシーンが続けて描かれています。

 

強大な父、情けない父

毒親,父,父という檻の中でこの本を読むうえでポイントとなってくるのが『強大な父』と『情けない父』が入れ替わり立ち代わり出てくること。

著者自身がこの経験を乗り越えたからこそ、父に対するもっとフラットな見方ができるのだなと感じました。

家庭で経済的、心理的、肉体的権力をいかに行使しようとも父はただの未熟な中年男性だった-こういった気づきは毒親持ちが回復するために不可欠なものの1つだと思います。

親の存在感の大きさに押しつぶされそうな方は、この点に注目して読んでみると面白いかと。

 

モードの強靭さに励まされる

主人公のモードの心理状態や成長ぶりについても、当然触れないわけにはいきません。

不安定さ、非虐待者特有の親への申し訳なさなどを抱えながらも、父の求める強靭さではなく『自分が信じる強靭さ』を得ていくモードに励まされ、時にはもうちょっと背中を押してあげたくなり、時には自分も一緒に乗り越えていくような気分を味わえます。

超越者教育を受けてはいても、動物や文学、音楽が好きな普通の女の子らしいところが共感を呼ぶのかもしれません。

 

この本をおすすめする方と注意点

エリート思考系毒親持ち

いい子でいなければ、いい大学に入らなければ、特定の分野で必ず才能を開花させなければ…そんな風に自分の個性をとことん押しつぶされた方にはおすすめです。

モードがありとあらゆる勉強・習い事に疲弊していく様子に共感しながら、その後のモードの回復ぶりに注目してみてください。

 

宗教系毒親持ち

親が特定の宗教にハマっている、その宗教以外の教えをすべて受け付けない親に育てられた方も、エリート思考系毒親持ちの方同様に共感して読める本です。

この父は『フリーメイソン』に心の安らぎや信頼を求めていますが、宗教にハマる人と基本的な構造は同じです。

 

フラッシュバック注意!

毒親,おすすめ,本,父という檻の中でこの本を読むすべての方に言えることですがフラッシュバック注意です!

エリート思考×宗教的なのめりこみを持つ父親の虐待の他、知人による性的虐待のシーンなども出てきます。

前半は特にそういったシーンが多いので、フラッシュバックの心配がある方はゆっくり読み進めるかいったん読まないことを選択してみてもよいと思います。

 

結末は意外とさっぱり

結末に大団円とか、父や母のその後が詳細に書かれたりする本ではありません。

なので全体的にモードが自立するところから結末まではさっぱりしている本かなと感じました。

私としては前半の勢いと中盤のモードの反抗が印象深かっただけに、ラストはちょっと唐突過ぎたような気がしますがこの辺は好みもあるので何とも言えません。

実録なので詳細に書けない部分もあるでしょうしね^^;

 

西洋文学に詳しいとより楽しい!

知性を重視する家庭だけに本が多かったらしく、幼いモードが文学に傾倒する様子や本の中のヒーローにあこがれる様子などが描かれています。

私はそっちの方はあんまり詳しくなかったので若干流し読みになってしまいましたが、西洋文学がわかる方なら楽しいと思います!

シェイクスピアやドストエフスキー、カフカなどに関する話が出てきます。

 

hanami1この本、母が手に入れてきた本なんですがすごく面白くて5-6時間でバーッと読んでしまいました。

毒親持ちさんにはおすすめですので、ぜひどうぞ^-^

 - コラム, 書評