防衛機制の投影(投射)の仕組みと具体例を知ろう

防衛機制の投影(投射)の仕組みと具体例を知ろう
この記事の読了時間: 634

心を守る機能・防衛機制についてシリーズ化でお届けしています。

今回はその中でもどちらかといえばメジャーな『投影』について紹介していきますね。


スポンサーリンク


防衛機制の投影とは

防衛機制の投影とは、自分の中で抑圧したものを他人に映し出し、他人のものだと思い込むことです。

自分の中で抑圧した感情、抑圧した欲求が、自分という枠から出て、他人のもののように見えてしまいます。

別名『投射』と呼ばれることもあります。

以前いくつかの記事で投影の話がちょこっと出てきたので、こちらの記事たちもついでに見ていただけると嬉しいです。

陰口を言う・叩く人の心理と対処法5選、陰口を聞かれた時の対処法まとめ
正論を言うと嫌われる?その理由とおすすめの伝え方を紹介

 

投影の具体例

投影の具体例で最もよくあるのが、『この人の〇〇な部分が嫌い』というものです。

あなたはどんな人が嫌いですか?

だらしない人が嫌いな人もいれば、逆にきっちりしすぎてる人が嫌いが人もいると思います。

その嫌いな部分が、相手に投影されたあなた自身の『抑圧された感情・欲求』である可能性があります。

 

付箋とノート、会社の机

ここでは、だらしない人が嫌いな場合を考えてみます。

あなたはだらしない人が嫌いで、会社で一緒に働くAさんがデスク周りを書類でいっぱいにしたり、埃が落ちてもまるで気にしないのが許せません。

そんな時、あなたの心の中で『抑圧』と『投影』が起きているかもしれません。

 

あなたの心の中には

・イド(エス)…欲求担当

・超自我…倫理観担当

・自我…イド・超自我・現実社会のバランスを取る役割

という3役者がいます。

超自我、自我、イド(エス)

あなたがだらしない人を異様なほどに嫌っている場合、イド(エス)は本当はだらしなく生きてみたいと感じている可能性があります。

1日中ダラダラしたり、掃除をさぼったり、デスク周りもテキトーにしておいたり、という欲求がイド(エス)にあるとしましょう。

ですが、あなたの中の倫理観である超自我は、それを許せません。

『自分の周囲は常にきれいにしておくべき』『適当に生きるのはNG』という倫理観を持っているためです。

 

そこで、超自我が自我に命令して『だらしなくしたい』という欲求を抑圧します。

簡単に言えば無意識のうちに心の奥底にしまってしまうということです。

抑圧も防衛機制の一種で、こちらの記事で書いています。

【防衛機制】抑圧の具体例と転換性障害との関係

 

さて、これにて『だらしなくしたい気持ち』は抑圧されて一件落着かと思いきや、そうはいきません。

抑圧されたものは何らかの形を取って出てきたがるのです。

ストレートに意識上に上られると『だらしない自分でいたい』と『だらしなくしちゃだめ』という2つの価値観の間で揺れてしまいます。

その不安定さに自我が耐えられないかもしれません。

なので、抑圧されたものを自分ではなく他人に映し出そうというのが投影です。

 

自分の中の『許せない自分=だらしなくしたいという欲求』は、投影をすれば自分のものではなくAさんのものです。

なので、超自我の倫理観に従って『だらしない人はダメ』と感じても、自分事ではないので堂々と非難できるのです。

これが自分のことだったら、先ほど書いたように自我が耐えられないかもしれません。

自分の抑圧した感情や欲求を他人ごとにすることで、バランスを取っている状態といえます。

 

投影を知り、利用する

ここでは、投影を知ったことで得られる3つのものを紹介します。

投影を知る・投影に気づくことは、思った以上にメリットがあります。

 

自分の隠れた欲求に気づける

裸電球

自分の投影に気づくことは、自分の本当の望みや感情に気づくチャンスでもあります。

例えば相手の『好き勝手やっている』部分が妙に心に引っ掛かるとしたら、自分自身が『もっと好き勝手にやりたいんだ』という欲求を持っていた可能性があるということです。

現実的に、その望みをかなえてあげる方法はないでしょうか?

少しでも好き勝手にできる部分はないでしょうか?

抑圧していた欲求を思い切って解放すると、意外と気が楽になって明るい気持ちになれるかもしれませんよ。

 

相手を多方面から見られる

ルービックキューブ

投影が起きているとき、私たちは相手の一部分にのみフォーカスして相手を見てしまいます。

先ほどのだらしないAさんも、実は家族サービスにはマメだったり、仕事ができるタイプだったり、見知らぬ人に親切にできる人かもしれません。

ですが、『だらしない』という投影された部分にこだわるがあまり、Aさんの素敵なところは忘れ、だらしない部分だけに目が行くこともよくあります。

『投影』という動きがあることを知っていれば、『あ、自分は今Aさんに何か投影しているのかもしれない』と気づくことが出来ます。

自分の近視眼的な部分に気づけるんですね。

そこから、今まで見えなかったAさんの良い点を意識的に探したり、ということも可能です。

 

悪口に対処できる

壁に映った影

悪口を言われると、『自分って〇〇な人間なのか…』と落ち込んでしまいますよね。

ですが、ケースによっては相手が自分に何かを投影しているだけということもあるのです。

つまり、相手が相手の認めたくない部分と独り相撲している状態です。

悪口の内容は、相手の弱点(認めたくない部分)披露であって、別にあなたが悪いわけではない可能性もあります。

そう考えると、悪口を言われてもダイレクトに傷つけられた感じはしませんよね。

投影の心理を知っておくと、少し冷静になれるのもメリットです。

『あー、この人自分がだらしないのが嫌なんだなぁ』とか、『この人は、要領が悪いのを気にしてるんだな』など、冷静な目で相手を見られます。

陰口を言う・叩く人の心理と対処法5選、陰口を聞かれた時の対処法まとめ

投影同一化と投影の違い

防衛機制関連の言葉では、投影同一化というものもあります。

投影と投影同一化にはいくつか違いがありますので、簡単にまとめてみました。

 

違い1.ベースにある防衛機制が違う

投影同一化の場合は、『分裂』という防衛機制がベースにあります。

良い自分と悪い自分を1つの自分として見ることが出来ないのが分裂です。

投影の場合には、分裂が絶対にないとは言えませんが、基本のベースは『抑圧』です。

 

違い2.対人操作の有無

木製の操り人形

投影同一化の場合は対人操作を伴います。

例えば『相手が自分のことを嫌いだ(本当は自分が相手のことを嫌いだがそれを認められない)』と感じたとします。

投影の場合は、相手に嫌われてるとがっかりしたり、『〇〇さんが自分を嫌いだ』と間接的な攻撃をしたりします。

一方で、投影同一化の場合は『本当に相手が自分を嫌うように仕向ける』のです。

手段として間接的・直接的な攻撃を伴う点では投影と一緒です。

ですが、投影の攻撃性は感情によるもので、対人操作的とまでは言えません。

明らかな対人操作を伴う場合には、分裂-投影同一化の防衛機制が使われている可能性があります。

 

投影同一化は『原始的防衛機制』の一種で、以下にまとめていますので参考にしてみてください♪

原始的防衛機制についてー8種類の原始的防衛機制まとめ-