防衛機制・合理化の具体例と対処法

防衛機制・合理化の具体例と対処法
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人間が無意識のうちに心を守るシステムを紹介する『防衛機制シリーズ』、今回は合理化について紹介していきたいと思います。

いわゆる『すっぱいブドウ』の防衛機制です!

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防衛機制の合理化とは

防衛機制の合理化とは、『理屈で自分を納得させる』ことです。

欲求を満たせなかった罪悪感や無力感を和らげるために、ある種都合の良い理屈を用います。

以前出てきたE・ヴァイラントの防衛機制の分類では神経症的防衛に分類されています。

防衛機制とは自分の心を守る方法!仕組みはどうなってるの?

 

合理化の具体例

ここでは、合理化の具体例を2つ紹介します。

今回は、無意識と意識の仕組み図の三役者のうち、イド・自我が主に登場します。

超自我、自我、イド(エス)

イド(エス)…あれしたいこれしたい!欲求担当

超自我…あれはだめ、これはだめの両親の置き土産的な価値観

自我…イド、超自我、外界とのバランスを取る役

 

『すっぱいブドウ』と防衛機制

ブドウがたわわに実った蔓

ここでは、イソップ寓話『すっぱいブドウ』のストーリーを追いながら、どのように心の中で合理化が起きているかを見ていきます。

すっぱいブドウはキツネの話ですが、ここでは人間のようにイドや自我を持っているという想定でいきますね。

 

1.キツネがブドウを見つけて飛び上がる

これは、イドの欲求『今すぐこのブドウが食べたい!!』を自我がかなえてあげようとする働きです。

 

2.ブドウは高い所にあって届かない

ブドウが高い所にあるのは、キツネから見た現実の壁です。

自我がイドの欲求(ブドウ食べたい)を叶えてあげられないので、罪悪感を覚えます。

自我は基本的にイドの欲求を叶えるという役割を持っているのです。

罪悪感とはいっても、『自分はなぜダメなんだ…』というレベルではなく、もやもやした嫌な感じに近いのではないかと私は思います。

 

3.『どうせこのブドウは酸っぱいんだ』と捨て台詞を吐く

自我は罪悪感を解消しつつ、イド(ブドウ食べたい)と現実(高い所にあって届かないブドウ)の調整をしなければなりません。

その方法の1つが、今回紹介する合理化です。

『どうせこのブドウは酸っぱい=食べなくてよかった』と理屈をつけることによって、イドの欲求を叶えられなかった罪悪感を緩和・解消します。

負け惜しみとも取れる表現ですが、本当にすっぱいブドウだとしたら食べなくて正解といえなくもないですよね。

 

魚釣りに行った少年の例

家族と釣りをする少年

もう1つ、似たような例で魚釣りに行った少年の例があります。

魚釣りに行くのをとても楽しみにしていて、自分が1番多く魚を釣るぞと思っていた少年がいるとします。

魚を誰よりも多く釣りたい!というのはイドの欲求というよりも自我自身の期待であったり、超自我による要求に近い面もあります。

例えば、両親がその子に『男の子らしさ・わんぱくさ』を求めていた場合などです。

 

いずれにしても、何らかの欲求を持って魚釣りに臨むのですが、実際のところは意外とうまくいかなかったりも。

ここで、少年は『思い通りにいかない』という挫折感を味わいます。

挫折感を味わいつづけることは、心にとって負担が大きいです。

そのため、『魚を釣れなかった』という挫折感・無力感を和らげるために少年はこんな風に思うのです。

『今日は魚釣りに来たんじゃなくてただ遊びに来たんだから、別に釣れなくたっていいんだ』と。

こうすれば、魚を釣れなかった無力な自分・挫折した自分から離れられます。

 

合理化に気づくことはできる?

防衛機制はどれも無意識に行われるもので、合理化も無意識下で行われています。

ですが、数ある防衛機制の中で合理化は自分でも気づきやすい防衛機制といわれることも。

そもそも『無意識』とは言っても、意識と完全に隔絶されたものではなく、つながっているものなので注意すれば気づくことは可能かと思います。

なんだか腑に落ちない感じ、もやっとした感じ、落ち着かない感じなどを通して、『理屈で納得させようとしている自分』と『罪悪感・挫折感にさいなまれる自分』が対峙していることを意識上でも知るのかもしれませんね。

 

合理化に対処するには

合理化には良い面もある

美しい海と女性

うっすらと気づくこともできる防衛機制の合理化。

心を守る仕組みの1つですから、合理化に気づいたからといって、無理に『合理化をやめよう』と思う必要はないのではないかと感じています。

合理化によって得られる心の落ち着きがあり、それが自分を縛るものでない限り、悪いとは言い切れません。

特に、ストレスを溜めやすい方には時々の合理化は必要です。

人のせいにしたり社会のせいにしたり、どうしようもないことを自分のせいとして全部抱え込むよりはいくらかマシといえますよね。

 

合理化をやりすぎても状況は良くならない

悲しみと鬱々とする男性

ただ、問題として合理化をずっと続けても状況がよくなることはあまりないことが挙げられます。

例えば以前紹介した防衛機制の補償や昇華の場合、欲求を叶えられなかった気持ちを別の行動で解消します。

少なくとも行動が起こされることで、状況は変わります。

 

また、意識の方向性についても昇華・補償と合理化には違いが見られます。

昇華においては社会的評価を伴いますし、補償だったとしても自分の満足度は上がります。

いずれにしても、別の行動とその成果に意識が向いている状態です。

合理化の場合、何か別の行動を伴うわけではなく、ずっと『できなかったことの後処理』に意識が向いています。

なので、合理化は意識の転換・行動の変化が見られにくい防衛機制と言えるでしょう。

その場で足踏みしてしまう状態を作りやすいのです。

合理化を使いすぎて現状維持ばかりしてしまう…という方は、合理化を減らす方向を考えてみるのもよいかもしれません。

 

合理化を減らすためにできること

カラフルな果実

合理化をやりすぎているかも…と感じる方が合理化を減らすためにできることはいろいろありますが、最も簡単な方法を紹介します。

それは、『欲求に気づいてその一部でもいいので別の形で満たすこと』です。

例えば『すっぱいブドウ』のキツネの場合、『ブドウを食べたい!今すぐ!』というのがキツネのイドの欲求でしたよね。

これを分類すると、『食べたい』『ブドウ』『今すぐ』です。

このうち、高い所のブドウが取れなかった以上『今すぐ』は叶えられそうにありません。

ですが、『ブドウを食べたい』ならちょっと違うところに行けば低いところにブドウがなっているかもしれません。

もっと欲求を単純化して『食べたい』であれば、桃でもリンゴでもOKかもしれませんよね。

 

こんな風に、『欲求を把握し』『別の形で満たすこと』に集中すると3つのことが起きます。

まず1つ目は、意識の転換です。

合理化をして『どうせあのブドウは酸っぱいんだ』と言っているうちは、『すっぱい(かもしれない)ブドウ』のことで頭がいっぱいです。

手に入れられなかったブドウのことばかり考えている状態ともいえます。

それが、別の形で満たすことを考え始めると、『ブドウはほかにないかな?』『桃があるのはあの畑の向こうだっけ?』などという考えが自然と浮かんできます。

つまり、意識が『これから手に入れるもの』に向いています。

この状態なら、過去への後悔や挫折感は感じにくくなります。

後悔・罪悪感・挫折感を緩和するために合理化が行われるのですから、そもそも挫折感や後悔に目が行かなければ、それを緩和する必要もなくなるか少なくなるということです。

合理化の時間を減らすのに効果的な部分です。

 

歩くおもちゃ

2つ目は、行動力を得られることです。

合理化をやりすぎる問題点である『現状維持』『その場で足踏み』といった状態を解消してくれるのが行動。

行動すれば何でもいいとまでは言いませんが、自分の観念や感覚を変えるのに行動は効果的です。

実際のところ、複雑な人間社会においては、キツネのように『別のところに行ってご飯を探そう』とはならないかもしれません。

ですが、できる方法を模索して簡単なことから始めることで行動力を得られるのは確かです。

現状維持しないタイプの防衛機制を使えるようになるかもしれませんよ。

 

3つ目は、成功体験につながる可能性があることです。

すっぱいブドウを諦めたキツネが桃やリンゴを食べられたとき、願いは少しだけ叶います。

イドの願いは基本的に『今すぐじゃなきゃ嫌!!』というかなりわがままなものなので、合理化が起きた以上高い満足感や成功体験は得られません。

ですが、行動によって何かを得れば小さな満足感、少しの成功体験を得る可能性はあります。

その体験を『大したことないや』と思わないでください。

大事な成功体験としてしっかり味わい尽くせば、あなたの中に新しい心のルールが徐々に出来上がっていくからです。

成功体験が増えて自己効力感が上がれば、さらに罪悪感や挫折感を味わいにくい心ができあがっていきます。

小さなことで合理化を使う必要がないので、今まで合理化があまりに多すぎた人にとっては合理化が減る一因となることも。

 

防衛機制の合理化についてのまとめ

ノルウェーのキツネ

・合理化とは、欲求を満たせなかった気持ちを理屈で納得させること

・いわゆる負け惜しみ、言い訳にも近い

・自分でも気づくことがある防衛機制

・心を守る仕組みの1つなので、無理に変える必要はないが、あまりにも1つの防衛機制ばかり使っている状態は問題

・合理化を少なくしたい場合は元々の欲求をしっかり把握し、一部でも叶えるべく行動するのがおすすめ

 

春になったら我が家の近くにキタキツネが出てきました…!!