発達障害(ADHD/アスペルガー症候群)と不安障害やうつ病の併発率・関係性って?

記事の画像はイメージです。特定の人物を指すものではありません。

      2017/09/18

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今回は、不安障害と発達障害のかかわりを見ていきたいと思います。

発達障害を持つ方が不安障害やうつ病を発症しやすいといわれる理由や、アスペルガー症候群・ADHDの方の不安障害有病率の研究などをまとめました。

発達障害当事者の方、発達障害のお子さんを持つ親御さんのお役に立てればうれしいです!

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発達障害って?特徴と分類

発達障害は法令上の定義ではこんな感じになっています。

自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの

特別支援教育について:文部科学省

 

簡単に言うと、発達障害とは脳機能の障害で幼いころから様々な特徴がみられるということです。

多くの人とは違う感覚や物事のとらえ方が、集団生活や対人関係にズレを起こし、当事者は多くの場合生きにくさを感じます。

 

主な発達障害の種類

発達障害は主に3つあります。

ここではそれぞれの特徴を簡単に紹介しますね。

 

広汎性発達障害

会話する人形

自閉症・アスペルガー症候群などが広汎性発達障害に含まれます。

パターン化した行動、あいまいなコミュニケーションを苦手とするという点では自閉症とアスペルガー症候群は同じです。

ただし、アスペルガー症候群には言葉の発達の遅れは見られません。

 

注意欠陥多動性障害(ADHD)

注意欠陥多動性障害の方は衝動の制御が難しい傾向にあります。

思ったことをそのまま口に出してしまい、対人関係で苦労することも。

また、忘れ物やなくしもの、うっかりミスが多いのも特徴です。

 

学習障害(LD)

勉強のための本

読むこと、書くこと、算数や推論に対して困難を覚えます。

多くのケースでは、読むことのみ、書くことのみといった一部に障害が出ます。

そのほかの部分では知的発達の遅れもなく、発見されにくいのが特徴です。

俳優のトム・クルーズさんも学習障害を公表していましたね。

彼は『b』と『d』の区別がつかず、教科書や黒板の文字を読むことができなかったそうです。

 

発達障害児は1クラスに2人くらい

教室の椅子と机

2012年に文部科学省が発表したところによれば、発達障害の可能性がある子は6.5%いたとのこと。[1]

確実に発達障害と診断が下されたわけではないものの、特別な支援を必要とする子供たちです。

30人のクラスなら1-2人は発達障害の可能性があるということですね。

 

また、発達障害が認知され法制度が整ってきたのが最近ということもあってか、大人になってから発達障害の診断を受けるケースもあります。

お友達がADHDの検査を受けたときのことをまとめて記事にしていたので、紹介しますね^^

お値段やどんなことをやるかを詳しく教えてくれています!

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発達障害と不安障害・うつ病

今回、当サイトで発達障害について紹介しているのは不安障害・うつ病などの不安を主な訴えとする病気とかかわりが深いからです。

発達障害には『二次障害』というものがあります。

発達障害を放置しておくと新たに出てくる障害のことです。

発達障害自体が見逃されていても、二次障害で病院に行き、根本的な問題は発達障害のほうにあったとわかるケースもあります。

不安障害、うつ病、双極性障害、依存症、暴力癖などが二次障害に含まれます。

では、どうして発達障害だと不安障害やうつ病になりやすいのかの理由を見てみましょう。

 

『違う』ことによる自己肯定感の低下

寂しいテディベア

発達障害の子は30人クラスに1-2人で、少なくはありませんが大多数でもありません。

なので、世間の大半を占めている側が作ったルールや暗黙の了解に、発達障害の方が戸惑ってしまうことも多いです。

考え方、ものの言い方、感じ方などにズレがあると、ズレを感じるたびに心は傷つきます。

そして、そのまま何の心理的ケアもないと『人と違う自分はダメなんだ』という自己認識ができあがります。

何をやってもダメ、自分には何の価値もないという思いが蓄積され、その他ストレスなどもあいまってうつ病や不安障害を発症する可能性があります。

 

体感覚の違いによるストレスが大きい

耳をふさぐ女の子

発達障害の方の中には、体の感覚が過敏だったり、逆に異常なほど鈍麻している方がいます。

ほかの人が普通に歩いているデパートや駅、学校内が耐えがたいほどの刺激に感じる方もいるということです。

すると、発達障害でない人が感じる『人込み疲れ』とはレベルの違う疲れとストレスが襲い掛かってきます。

それが蓄積されると、人込みでパニックを起こしたり人前に出ることが異常に怖くなったりという、不安障害の特徴が出ることがあります。

過敏という点では以前紹介したHSPの方も同じような特徴を持っています。

敏感で繊細な人-HSPの特徴とチェック、向いてる仕事と改善法

 

周囲のサポート不足

発達障害が法律で支援すべき対象となったのは2005年。

残念ながら、日本は発達障害の方の心理的ケア・サポートについてはまだ課題が多いようです。

十分な心理的ケアを受けられないままだと、発達障害の子は自己肯定感が低くなりがちで、体感覚の違いによるストレスの解消も上手にできません。

そのまま、さまざまなストレスともやもやした自己像が蓄積され、蓄積され…ある日不安障害やうつ病の特徴を伴って爆発するのではないかと私は考えています。

特に、今すでに大人で、発達障害特有の難しさを抱えている方は、時代的に見ても小さなころにサポートを受けられなかった可能性が高いです。

 

まとめ

・発達障害になんの対策も取らないと、うつ病や不安障害、依存症などの二次障害を発症することがある

・二次障害の原因は周囲のサポート不足、人との違いによる自己肯定感の低さ、体感覚の違いによるストレスがたまりやすいことなど

 

発達障害と不安障害・うつ病の併発率

アムステルダムの運河

発達障害の二次障害として発症する可能性があるうつ病や不安障害。

実際にどれくらいの人が併発しているのかを紹介します。

ここでは代表的な発達障害であるアスペルガー症候群とADHDに限って、研究結果を紹介しますね。

発達障害についてはまだ研究途上なので、これが確定とかすべてというこではありません。

あくまでも今の時点でこんな結果があるんだなぁくらいに見てもらえるとありがたいです。

 

アスペルガー症候群と不安障害の併発率

2011年にアムステルダム大学が行ったメタ解析(複数の研究結果を分析する方法)[2]では

アスペルガー症候群の若者のうち39.6%が少なくとも1つの不安障害を持っている

との結果が出ました。

 

アスペルガー症候群の若者の不安障害有病率

・特定恐怖症(高所や特定の動物など):29.8%

・強迫性障害:17.4%

・社交不安障害:16.6%

 

アスペルガー症候群と強迫性障害は、こだわりの質こそ違うものの、『特定の物事にこだわる』という共通点があります。

また、社交不安障害は対人関係の挫折とかかわりがあります。

アスペルガー症候群特有のコミュニケーションによる挫折体験を持つ方は想像以上に多いのかもしれませんね。

うつ病については、併発率は出ていませんが、アスペルガー症候群との関係性が指摘されることが少なくはありません。[3]

 

ADHDと不安障害・うつ病の併発率

子供の目・涙

アメリカのうつと不安に関する非営利団体『ADAA』はADHD成人の50%が不安障害に苦しんでいると紹介しています。

また、2011年にアメリカの6-17歳の61779人(うちADHD患児は5028人)を対象とした研究もあります。[4]

ADHD患児のうちうつ病を併発した子は15%、非ADHD児童が1%で、ADHD患児は15倍の発症率となりました。

不安障害についてはADHD患児が18%、非ADHD児童が2%でした。

 

ADHDに関しては、成人を対象とした研究もおこなわれました。

2006年にロナルド・C・ケスラー教授が3199人のADHD成人(18-44歳)を対象とした研究では、以下のような結果が見られました。

病名
ADHD成人の有病率
非ADHD成人の有病率との差

うつ病(大うつ病)


18.6%


2.38倍


全般性不安障害


8.0%


3.07倍


PTSD


11.9%


3.6倍


パニック障害


8.9%


2.87倍


社交不安障害


29.3%


3.75倍


強迫性障害


2.7%


2.07倍


不安障害全体


47.1%


2.41倍

 

私自身、特別支援教育を必要とする子とかかわったことがありますが、自分の理解不足・サポート不足に悩みました:;

どんなところで難しさを感じるのか、どんなものが苦手なのかを知る方法、サポートする方法が体系的にまとまったらいいな…と当時はよく思っていました。

あと、その子のおかげで『自分が思う暗黙の了解やルールって意外とどうでもいいな』って新たな扉が開けたことも記憶に残っています^-^

 

私自身が発達障害ではないため、発達障害の説明にはやや足りない部分があったかもしれません。

以下のサイトで詳しく、わかりやすく発達障害が紹介されているので参考にしてみてくださいね♪

発達障害についてのおすすめサイト

大人のためのADHD.co.jp

親と子のためのADHD.co.jp

発達障害|みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)

 

参考サイト・研究論文

[1]特別支援教育について|文部科学省

[2]Francisca J. A. van Steensel, Susan M. Bögels,Sean Perrin(2011),Anxiety Disorders in Children and Adolescents with Autistic Spectrum Disorders: A Meta-Analysis
[online] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3162631/

[3]Matson JL, Nebel-Schwalm MS(2007),Comorbid psychopathology with autism spectrum disorder in children: an overview.
[online]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16765022

[4]Kandyce LarsonShirley A. RussRobert S. KahnNeal Halfon,Patterns of Comorbidity, Functioning, and Service Use for US Children With ADHD, 2007
[online]http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2011/02/07/peds.2010-0165.short

[5]Ronald C. Kessler他(2006),The Prevalence and Correlates of Adult ADHD in the United States: Results From the National Comorbidity Survey Replication
[online]http://ajp.psychiatryonline.org/doi/full/10.1176/ajp.2006.163.4.716

 

 - 不安障害・気分障害