依存性パーソナリティ障害の特徴、原因、接し方のポイントを紹介

記事の画像はイメージです。特定の人物を指すものではありません。

      2017/03/10

この記事を読むのにかかる時間: 634

今回はパーソナリティ障害の中でもDSMではC群(不安型)に属する依存性パーソナリティ障害について見ていきたいと思います。

他のパーソナリティ障害にも言えることですが、1つ1つの特徴は多かれ少なかれ誰にでも見られるものです。

パーソナリティの問題はあくまでも『正常と異常はグラデーションでできている』という点にも留意しながら読んでいただけると嬉しいです。


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依存性パーソナリティ障害の特徴は?

依存性パーソナリティ障害は親しい人などへの心理的な依存によって、社会生活に問題をきたしている状態です。

具体的には、以下のような特徴を持っています。

 

自分は無能という自己評価

依存性パーソナリティ障害の方は基本的に『自分は無能』という自己評価をしています。

自分の能力について(社会的な能力や勉強など)は客観的に見て『自分を卑下しすぎ』と思うようなことを本気で思っています。

自分ならできるはずだという自己効力感に欠けている状態です。

その一方で他者と付き合っていくスキルにおいては一定の自己肯定感を持っている方もいます。

つまり、『私はダメな人間だけど、周囲とうまくやっていく能力はある』という表現になるかと思います。

 

服従する

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依存性パーソナリティ障害の方の最も特徴的な部分が『服従』にあります。

他者に気に入られるためなら自分の本来の気持ちや行動予定などを曲げることが平気でできてしまうのです。

主人-従者のような服従関係もあれば、親-子のような保護に近い服従関係もあります。

服従するという行動は自分の意思がないというデメリットを持ちますが、一方では人づきあいが良いというメリットも持ちます。

服従によって、進路や就職、結婚といった重要な点も依存関係を気づいている人の言いなりになることがあります。

 

批判力のなさ

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依存性パーソナリティ障害の方にとって『批判』とは自分の望む対人関係を邪魔する不安なものです。

相手を批判すれば、自分が必要とされなくなるかもしれないという危険があります。

ですので基本的に依存性パーソナリティ障害の方は対人関係・事態にネガティブな判断を下しません。

危険な兆候を感じ取ってしまうような出来事には目をつぶる能力が備わっていると考えてください。

 

依存性パーソナリティ障害の世界

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依存性パーソナリティ障害の方の世界観をわかりやすく言うと、『無能な私と有能な周囲』に分けられています。

無能な私が安全に生きるために周囲の手助けを必要とする、その周囲の手助けや助力を得るための服従といった形で見てみるとわかりやすいです。

もちろんこれは本人が一度一度意識してやっていることではありません。

そういう対人関係のパターンができてしまっているのです。

書籍を読むと、その対人関係のパターンによって他の疾患を併発したり、周囲に病院に行くことを勧められて受診したというケースが多かったです。

 

依存性パーソナリティ障害と遺伝

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元来はあまり依存性パーソナリティ障害と遺伝について語られることはありませんでしたが、2012年にある研究結果が発表されました[1]

ノルウェー公衆衛生研究所が発表したところによれば、双子を対象にした研究によって依存性パーソナリティ障害の形質遺伝性は、以前から言われていたよりも高いのではないかとの結果が出ました。

研究者は遺伝的に依存性パーソナリティ障害になりやすい子が必ず依存性パーソナリティ障害になるというわけではなく、環境要因とのかかわりも指摘しています。

 

依存性パーソナリティ障害のすごいところ

依存性パーソナリティ障害の方が持つ特徴が生かされる場面も当然あります。

まず何よりも言えることは人の気持ちを汲むのがうまいということ。

他人の気持ちを細かな部分まで読み取って気遣える能力は、介護福祉の分野や幼児教育の分野で役立ちます。

仕事とプライベートをしっかり分けて『奉仕する仕事』にのめりこみ過ぎないように注意すれば、人と人の緩衝剤として社会で活躍できる素質です。

 

依存性パーソナリティ障害の原因は?

依存性パーソナリティ障害の原因はこれ!とはっきり言い切れるものではありません。

ここではいくつかの可能性を紹介しますね。

 

過保護な親

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依存性パーソナリティ障害は『過保護な親』とセットで語られることが多いです。

子供はある時点で独立のための、自分なりの行動をするようになります。

母親に聞くと、私の場合はある時点で親の決めた服を着ないようになったそう。

一般的には子供の自立心が芽生え始めるのが3-4歳と言われています。

この時期に親が先回りをしてしまうと、子供はこんな風に考えてしまいます。

『そうか。お母さんやお父さんの言うことを聞いていれば何でも手に入れられるんだなぁ』と。

 

機能不全家庭

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また、機能不全家庭ならではの親の無関心もしくは溺愛、暴力・暴言なども依存性パーソナリティ障害の原因となり得ます。

機能不全家庭では、人間関係の基礎的な部分となる両親との関係に歪みが生じてしまいます。

その中で『両親の言うことにとにかく同意しなければ、賛同しなければ安全が保障されない』というパターンができてしまった場合は、将来の人間関係依存に注意が必要です。

私が聞いた分では、『同意しないと殴る・蹴る』『賛同しないと罵る』という機能不全家庭の親は少なくないです。

 

依存性パーソナリティ障害の治療

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治療は精神療法と薬物療法に分かれています。

精神療法では人間関係における依存のパターンを把握し、徐々にそのパターンを変えていく方法があります。

自己主張の訓練なども含めて、自分というものを外部に発信していく練習も効果的とされています。

薬物療法は依存性パーソナリティ障害による抑うつや不安、併存する精神疾患に対して用いられます。

 

接し方について

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依存性パーソナリティ障害の方と接する上で一点とても重要なことがあります。

それは『代理』で何かをやってあげないということです。

代理で何かをやってあげると依存性パーソナリティ障害の方は喜んでくれますし、これまで以上にあなたに尽くしてくれるかもしれません。

ですがそれは本人の自主性と自立の心をはぐくむ邪魔になってしまいます。

依存性パーソナリティ障害の人が描いている『無力な自分と有能な他人』という関係性を支える事実になってしまうんです。

自分で決めることの大切さをわかってもらうためにも代理で何かをしていないか、常に考えながら接することが重要です。

 

参考文献・サイト
[1]
Title:The heritability of avoidant and dependent personality disorder assessed by personal interview and questionnaire.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22486635
Author:Gjerde LC他

依存性人格障害・依存性パーソナリティ障害|聖心こころセラピー

矢幡洋(2004)『依存性パーソナリティ障害入門』日本評論社

岡田尊司(2004)『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』PHP新書

 - パーソナリティ障害