自己愛性パーソナリティ障害とその他の病気の併発・違いまとめ

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      2017/03/10

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前回までは自己愛性パーソナリティ障害の特徴や治療を中心にまとめてきましたが、今回は自己愛性パーソナリティ障害とその他の病気についてです。

どんなところが一緒でどんなところが違うのか、併発に気をつけるべき病気は、といったところを紹介します。


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発達障害との関係

発達障害、特にアスペルガー症候群の方は独自のこだわりが強く人の気持ち、場の雰囲気の想像力に欠ける点は自己愛性パーソナリティ障害の方と似ています。

ですが大きな違いは、発達障害は何らかの脳の異常があり、基本的には先天性だということです。

自己愛性パーソナリティ障害の場合は環境要因が占める影響が大きいです。

また、自己愛性パーソナリティ障害ならではの特徴が、他人からの賞賛を得ることへの過剰なこだわりです。

 

アスペルガー症候群

ほとんどが先天性(まれに事故による後天性)、独自のこだわり、場の雰囲気を読み取る能力が低め

 

自己愛性パーソナリティ障害

環境要因が大きい、賞賛を得ることへの過剰なこだわり、場の空気は読めたとしても読まない

 

双極性障害(躁うつ病)との関係

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双極性障害(躁うつ病)にはⅠ型とⅡ型があり、このうちⅡ型は『軽い躁状態とうつ状態を繰り返す』のが特徴です。

この『軽い躁状態』というのは自己愛性パーソナリティ障害の方のテンションの高さに通ずるものがあります。

というのも、自己愛性パーソナリティ障害の方は、さまざまな状況から自分を守るために『躁的防衛』という方法を使うことがあるからです。

例えば、自己愛性パーソナリティ障害の方はとても脆い部分があり、自分が少しでも否定されるような状況が苦手です。

自分の非を認めたくない、不快な感情を体験したくないがあまり、逆に相手を貶めたり攻撃的になったりします。

これが躁的防衛です。

軽い躁状態の『攻撃性』とよく似ていますよね。

 

お酒には注意が必要!

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お酒は自己愛性パーソナリティ障害の方が特に注意しなければいけない部分です。

一度自己愛の殻が破れてしまうと、抑うつ気分のはけ口としてお酒を使う方も少なくはありません。

自己愛性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害、その両方を持つ患者を対象にした研究では、アルコールも含む物質使用障害との併発率が35.5%との結果もあります。[1]

なお、物質使用障害には薬物なども含まれるのでアルコールだけではないものの、かなり高い数字だと私は感じました。

アメリカのクリニックのホームページなどを見てみると、アルコール中毒を併発しているケースではアルコール中毒の治療が優先されるケースが多かったです。

 

うつ病との関係

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自己愛性パーソナリティ障害とうつ病、気分変調症の併発率は42-50%との研究結果があります。[2]

また、岡田尊司さんは著書でこんな情報を紹介しています。

最近の研究では、本来の「うつ病」である大うつ病の二割近くに自己愛性パーソナリティ障害が認められている。

これは、強迫性などに次ぐ高い比率である。

岡田尊司(2004) 『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』 117

 

共依存を起こしやすい?

わかりやすい『共依存』の話-どうしてあの人から離れられないのか-
共依存については以前記事を書いたので、詳しくはそちらを参照してみてください。

共依存を簡単に言うと、お互いなしにはいられない人間関係への依存です。

共依存には依存する方、依存する人を支える方に分かれます。

自己愛性パーソナリティ障害の方が共依存に陥るとなると、依存する方になることが多いようです。

というのも、支える方は時に屈辱的な言い分を飲んだり、自分の意見を消さなければいけないことがあります。

それ故に、自己愛性パーソナリティ障害の方が選ぶ確率は低めです。

 

自己愛性パーソナリティ障害の方が共依存関係を築くときには『特別な自分への賞賛、受容、日常の各種処理』が必要です。

共依存の相手(支える方)に選ばれやすいのは、自信がなく、自己否定に陥りやすい方。

自分など消えてしまえばいいと思っている境界性パーソナリティ障害の方は、特に自己愛性パーソナリティ障害の方との共依存に注意が必要です。

 

自己愛性パーソナリティ障害の人はサイコパス?

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サイコパスとは反社会的人格の一種を意味する心理学用語です。

自己愛性パーソナリティ障害とは共通点もあれば違いもあります。

 

共通点

共感力の欠如

・嘘をつくことをいとわない

・魅力的な人物を装う(サイコパスの場合は場合に応じて)

・人間関係では『支配』をベースに行動する

 

違い

遺伝、先天性について

サイコパス先天的な異常、遺伝的な要因との深い関わりが予測される

自己愛性パーソナリティ障害…遺伝性は指摘されるが、環境要因がより重要

 

人間関係について

サイコパス…より合理的で、即物的な快楽や目的の達成を重視

自己愛性パーソナリティ障害…より感情的で、目的の達成よりもその場で自分がどう見えるか、自分のプライドを重視

 

罪悪感について

サイコパス…基本的に罪悪感はなく、罰を何度受けても理解できない[3]

自己愛性パーソナリティ障害…罪悪感はあるが、攻撃性にすり替えてしまう。罰については理解できる

 

自己愛性?境界性?

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自己愛性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティ障害はどちらもパーソナリティ障害の分類で言えば、B群に含まれています。

基本的には連続性のあるものととらえられますが、一方で表面に見える特徴や対人関係には違いも。

ここでは2つのパーソナリティ障害の違いを紹介します。

 

統計上の違い

境界性パーソナリティ障害女性に多い

自己愛性パーソナリティ障害男性に多い

 

他人への接し方

境界性パーソナリティ障害見捨てられることに極端に弱く、しがみつきが見られる。時にはプライドを捨てたしがみつき行動も

自己愛性パーソナリティ障害…見捨てられることへの恐怖感は前面には出ず、あらゆる対人関係でプライドを守ることが優先される

 

自分への見方

境界性パーソナリティ障害…自分には価値がない、誰も自分を必要としない、消えてしまいたい、最初から自分がいなければよかった

自己愛性パーソナリティ障害…自分は特別、注目と賞賛を浴びるべき人間(その背後には境界性パーソナリティ障害と同じような見方が隠れている)

 

というわけで、今回は自己愛性パーソナリティ障害とその他の障害、病気との違い、関連性を特集してみました!

自己愛性パーソナリティ障害関連の記事はいったんここで終了予定です^^

 

参考サイト・書籍
[1]Comorbidity in patients with narcissistic personality disorder in comparison to patients with borderline personality disorder

[2]Ronningstam, E. (1999) 『Narcissistic personality disorder』Oxford Textbook of Psychopathology

[3]Psychopaths’ Brains Don’t Grasp Punishment, Scans Reveal|LIVESCIENCE

How Does Narcissism Relate to Alcohol Addiction?

岡田尊司(2004)『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』PHP新書

岡田尊司(2004) 『人格障害の時代』 平凡社新書

磯部潮(2003)『人格障害かもしれない どうして普通にできないんだろう』 光文社新書

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