【書評】ガイ・ウィンチ NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法

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      2017/07/17

この記事の読了時間: 826

私は『TED』の動画を見るのが趣味で、暇を見つけては面白そうな動画を見ているのですが、その中で特にすごい!と思ったのがセラピストのガイ・ウィンチさんのトーク。

この人素敵だなぁと思って『NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法』という本を買って読んでみました。

今回は『NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法』のレビューをしていきたいと思います!

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ガイ・ウィンチさんってどんな人?

まずはガイ・ウィンチさんについてです。

ガイ・ウィンチさんは臨床心理学の博士号を持つ心理学者で、セラピストでもあります。

現在はセラピストとしてマンハッタンで活躍されています。

最近は日本のテレビに出たり、4月にはまたTEDで講演をするとのこと。

私が見たTEDの映像は『感情にも応急手当が必要な理由』というものです。

 

どんな本なの?

『NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法』は題名からもわかるように『セルフケア』に関する本です。

20年以上にわたって実践を積んだ経験だけではなく、各種の研究結果を基にして『自分で心をケアする方法』を紹介しています。

 

構成について

構成は全7章で、こんな感じです。

第1章 自分を受け入れてもらえなかった時ー失恋、いじめ、拒絶体験

第2章 誰とも繋がっていないと感じる時ー孤独

第3章 大切なものを失った時ー喪失、トラウマ

第4章 自分が許せなくなったときー罪悪感

第5章 悩みが頭から離れないときーとらわれ、抑うつ的反芻

第6章 何もうまくいかない時ー失敗、挫折

第7章 自分が嫌いになってしまったときー自信のなさ、自己肯定感の低下

ガイ・ウィンチ(翻訳・高橋璃子)『NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法』

 

家庭の医学『精神』版

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この本は、『家庭の医学』という本に似ています。

『家庭の医学』は症状から考えられる病気や行くべき診療科を紹介してくれたりする本で、体全体のさまざまな不調・症状に対応しています。

その『家庭の医学』の精神ケアバージョンが、『NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法』です。

ケアする方法はもちろんですが、『家庭の医学』と同じように『こんなときには病院へ!』ということも書いてくれています。

なので、自分で対処できる範囲なのかどうかがわかりやすいのもメリットです。

 

この本のメリット・デメリット

メリット

自分の客観視の1歩目に

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上に挙げた7つの構成は悩み別になっていて、すごく読みやすいです。

なんか気持ちがぐちゃぐちゃするときにこの本を開いたら、まずはぐちゃぐちゃしたものがわかりやすく分類できます

 

例えば、友達と喧嘩してイライラしてどうにも落ち着かなくて…という気分だったとします。

その正体が『嫌な気分』なのはわかっていても、何が嫌なのかってちょっと自分だけではわからなかったりしますよね。

そういうときに本の目次にある7つの章と代表的な症状を見てみると、今の自分の心に近いものがわかります。

『嫌な気持ち』の正体は、例えば『受け入れてもらえなかった辛さ(第1章)』だったり、『悩みにとらわれていること(第5章)』だったり。

そのあたりは状況によっても違うとは思いますが、とにかくまずは心をとらえて分類、自分を客観的に見る第1歩になることは間違いありません。

 

読みやすい・わかりやすい

7つの章はそれぞれ、以下のような形で展開されます。

・その悩みが引き起こす症状(3つから4つ程度)

・手当の方法(3つから6つ程度)-それぞれの方法の後にまとめ

・専門家に相談するべきときの見分け方

常にこれの繰り返しなので、普段あまり本は読まないよ!という方でも簡単に読めること間違いなしです。

 

科学的根拠がある

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著者のガイ・ウィンチさんは長年の経験を持つセラピストですが、本書は経験則だけで書かれているものではありません。

むしろ全体を見てみるとガイ・ウィンチさんの経験はエッセンスで、ほとんどは科学的根拠を伴った研究結果から導き出された対処法となっています。

心の問題は人による差が大きく、科学的根拠があるからと言ってすべての人に合うわけではありませんが、信頼性が高まるのは確かですよね。

 

デメリット

取り組むのに時間がかかるものも

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基本的にはメリットが多い本ではあるんですが、デメリットとしては『手間・時間』の問題があります。

書きだして出来事を新たな視点で見たりというエクササイズが多いので、やるにはちょっとの手間と時間が必要です。

この手当の方法がいいな!と思っても、手間がかかることから敬遠される可能性もあるかなと思って、デメリットとして挙げました。

 

恥の感覚への対処がわかりにくい

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この本に限らず海外の心理ケアの本にはよくあるデメリットなんですが、『恥』に対するケアはあまり載っていません。

『周囲の人にどう見られるか』ということに対する敏感さというか萎縮してしまう感じ、恥に対する感覚がアメリカと日本ではかなり違うことが原因の1つかと思います。

この辺りは別の方の本で補っていくのがベストです。

 

向いている人・向いていない人

向いている人

経験則でうまくいかなくなった人

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私たちが普段心のケアをどうやっているかっていうと、本を読んだり人に話を聞いたりもしますが、基本は経験則が多いと思います。

以前つらかったときにこうやって乗り越えたから、今度もこうやって乗り越えるみたいな感じです。

ところが状況によっては、年齢に関係なく今までの経験則が通じなくなることがあります

そういうときは、自分の経験則を一度捨てて新しい情報を入れていくべき改革期とも言えます。

そんな時にはこの本が役に立つこと間違いなしです。

 

新しい環境に飛び込む人

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上の経験則とも関係してくるのですが、新しい環境では今まで通りのやり方が通用しないことも多いです。

海外に行ったら文化が違って戸惑ったなどは代表的ですよね。

そうでなくても新入学、転職、新社会人などで新しい環境に飛び込む方は事前に、この本で予習をしておくのがおすすめです。

こんな精神状態になったときはこうしよう、これくらいになったら病院に行こうってことがわかってると、新しい環境に行くにも安心感が違います

新しい環境で挑戦するお子さんやパートナー、友達のプレゼントにこの本をあげるっていうのもありだと思いますよ!

 

敏感で心配性な人

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敏感、繊細、心配性…これらの言葉を聞いて『自分のことかも』と思った方には、この本は向いています。

特に心配性の方は、『こうなったらどうしよう』ということが常に頭を巡り続けて不安になりますよね。

不安になるのは『どうしよう』の答えが見つからないからです。

そして『こうなったら』は本質的には出来事よりも感情に即する面が多いです。

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例えば、ぼっちになったらどうしようっていう心配があるとします。

実際のところぼっちになっても、出来事の面では1人でトイレでご飯食べればいいし、グループ課題なんかは最終的に先生がどうにかしてくれたりします。

それよりも問題なのは『孤独感』『寂しさ』の方です。

これに対する確固たる答えがないから、『どうしよう』が出てくるわけです。

この本だけが確固たる答えになってくれるわけではありませんが、助けになることは間違いないです。

『こうなったらどうしよう』の答えの選択肢が見えることで、心配しにくくなる効果があると私は感じました。

 

向いていない人

悩みのほとんどが『恥』の感情

上にも書いたように、この本は『恥』の感情についてはそれほど扱っていません

章としては存在せず、失敗・挫折と罪悪感の章の内容が近いかなという感じです。

なので、悩みのほとんどが『恥ずかしい』という気持ちに由来する場合は、この本はあまり向かないです。

 

メンタル面の治療中で、寛解期でない人

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うつ病や不安障害などの治療を始めたばかりで薬を増やしている状態、心理治療などを行っている場合にもこの本はあまり向きません。

読んでみてもほとんど『病院に行くべき項目』に当てはまってしまって、今すぐ使える本にはならないはずです。

それに本書に書かれている手当の方法が合わず、現在の心理治療の邪魔になってしまう可能性もあります。

寛解期や職場復帰など、少し良くなってきてから買った方が有用です。

 

まとめ・総評

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・心が落ち込んだ時や寂しいときなどのセルフケアの方法が簡単にわかる

科学的根拠に基づいて書かれている

・恥の感情についてはあまり書かれていない本

・新しい環境に行く前の人、心配性な人、今まで通りのやり方でうまくいかなくなった人には特におすすめ

・現在治療中の人にはおすすめしない

・個人的には星6つぐらいあげたい良書

 

全部読むんじゃなくて、必要なところだけ試しながら読むのがおすすめです。

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