うつ病の治療法『行動活性化療法』とは?やり方やおすすめの本を紹介

記事の画像はイメージです。特定の人物を指すものではありません。

      2016/12/08

この記事を読むのにかかる時間: 528

うつ病の治療は主に薬物療法と精神療法に分かれていて、精神療法で広く知られているのは認知行動療法。

ですが、ほかにも『行動活性化療法』というものが1970年代頃から提唱され、最近有効性が論文で指摘されることが多くなっています。

行動活性化療法とはいったいどんな治療法なのか、わかりやすく紹介していきます。


スポンサーリンク

『外』から『内』への治療

行動活性化療法の基本は『行動を変えて精神を安定させる』ということにあります。

薬物療法は体の内側に薬が作用して気分を落ち着かせ、行動を促します。

認知行動療法も心の内側に働きかけて気分を変えたり落ち着かせ、行動を促します。

これらの治療法が『内』から『外』の流れなのに対して、行動活性化療法は『外』から『内』なのが最大の特徴です。

 

行動活性化療法のやり方

 

全体の流れ

行動活性化療法では、不快な状況や気持ちに対して『快』を感じる行動をとり、不快な状況や気持ちに対処します。

普通、気分によって行動が半自動的に決まってしまうことが多いですよね。

ただ、その行動の結果がますます気分を悪くすることもあります。

落ち込む→動く気がしないから寝る→生活のリズムが乱れる→落ち込む…といったようなループをしてしまいます。

うつ病,治療,歩く,行動活性化療法,やり方,具体的,詳しく,わかりやすく,ウォーキング,海

そこで、行動活性化療法で気分によって半自動的にしそうになる行動を敢えて『快』を感じる行動にします。

『快』の行動とは『これをしたら気分が良くなる・落ち着く』行動です。

落ち込む→体を動かす→生活のリズムが整う→落ち込みが以前よりも軽くなる…という良いループを作り出すと考えてください。

 

快・不快な行動を探る

上で例として挙げた快の行動は体を動かすことでしたが、万人に有効な行動はありません

体質や今までの経験などを通した、その人独自の『快』『不快』があるのです。

そのため、行動活性化療法の最初のステップは自分にとってどの行動が快・不快かを記録することです。

何かの活動をした直後にどんな気分なのか、どのくらいの気分の強さ(5段階や10段階で)なのかを記録します。

記録は1週間から2週間行うと、自分だけのパターンが明らかになることが多いです。

うつ病,治療,行動活性化療法,やり方,方法,記録,取り方

 

不快な状況に『快』の行動を

自分独自の『快』『不快』がわかったら、次は不快な状況に『快』の行動を取り入れていきます。

最初に例に挙げた『落ち込む→敢えて体を動かす』といった手順です。

具体的にどんな場面でどんな行動を取るのかは、治療スタッフと話し合って決めるのが適切とされています。

実際に不快な状況に対して『快』の行動を取った結果どんな風に気持ちが変わったのかも記録します。

その記録を基に、どの行動が不快な状況に対してふさわしいのかを微調整しながら、徐々に治療を進めていくことになります。

うつ病,治療,行動活性化療法,効果,研究,費用,安い,お金,お金がない

 

行動活性化療法の効果は?

2016年7月にイギリスのエクセター大学が発表したところによると、行動活性化療法は認知行動療法に劣らない効果があるとのこと。

研究ではうつ病患者(18歳未満は含まない)440人を無作為に認知行動療法グループと行動活性化療法グループの2つに分けました。

その後の1年間の治療について、行動活性化療法は精神療法の専門的な訓練を受けていない精神保健従事者の下で、認知行動療法は心理セラピストの下で行われました。

結果的に治療を1年継続できた約3分の2の患者で、うつ病症状は50%以上軽減

この研究では認知行動療法と行動活性化療法で治療結果に大きな差がないことが明らかになりました。

その他に、費用やスタッフ教育の面では行動活性化療法に優れている面があると指摘されています。

 

・行動活性化療法も認知行動療法と同じくらいの効果が期待できる

・認知行動療法の費用より2割程度低い

・専門家を育成する費用・時間の負担が少ない

 

遠隔治療でも効果あり

うつ病,治療,1人で,家で,遠隔治療,行動活性化療法,研究

もう1つ、こちらは2015年にアメリカでうつ病の高齢退役軍人を対象にした研究があります。

対象者はうつ病にかかっている58歳以上の退役軍人(主に男性)241人。

120人を遠隔治療群に、121人を対面治療群に分けて8セッションの行動活性化療法を行いました。

解析対象は4セッション以上受けた204人です。

結果的に、この研究では遠隔治療でも対面治療でも治療反応率に大きな差はなく、遠隔治療の可能性にも期待できることがわかりました。

家から出てセッションを受けるのが難しい高齢者でも、行動活性化療法の遠隔治療でうつ病を治療できる可能性があります。

 

1人で行動活性化療法をやるには?

うつ病,行動活性化療法,やり方,治療,1人で,本,おすすめ

行動活性化療法はシンプルな治療法とはいえ、本来はある程度知識を持った専門家の下で(対面にしろ遠隔にしろ)行うのがふさわしいと私は考えています。

ですが、その専門家を探すにしてもなかなか大変だったり、地域によっては行動活性化療法の知識があまりない医師ばかり…ということもあります。

もしも1人でやるのであれば、以下の『うつを克服するための行動活性化練習帳』はおすすめ。

もともとは英語で書かれた本ということで若干日本語訳が不自然で固い感じなのは否めませんが、一連の流れに1人で取り組める良書です。

 

 

参考:Cost and Outcome of Behavioural Activation versus Cognitive Behavioural Therapy for Depression (COBRA): a randomised, controlled, non-inferiority trial

Psychotherapy for depression in older veterans via telemedicine: a randomised, open-label, non-inferiority trial

 - 不安障害・気分障害