学習性無力感ってどんなもの?特徴・実験・具体例・克服法まとめ

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      2017/08/07

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学習性無力感とは…

あまりにも長い間逃げたり避けたりできないストレスにさらされ続けると

人間も動物もその状況に対して自発的に行動しなくなる

という現象です。

1967年に心理学者のマーティン・セリグマンによって提唱されました。

今回はこの学習性無力感の具体例や学習性無力感に関する実験、克服方法を見ていきたいと思います!

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学習性無力感の例と特徴

基本的な症状・特徴3つ

学習性無力感の基本的な症状・特徴は3つあります。

1.不愉快なストレスがある状況から抜け出そうとしなくなる

2.自分の動き・努力・力が何の功も奏さないと考える(はた目から見たら功を奏するとしても)

3.何をしても無駄な状況が気持ちに影響する(鬱のような感じ・気持ちの混乱)

 

学習性無力感の具体例

悩んでいる女性

ここでは学習性無力感の具体例をいくつか挙げてみたいと思います。

いずれにしても基本である

・長期間のストレスにさらされている

・そのストレスから抜け出す(逃げる・抵抗する)自発性を失う

・何をやっても無駄、自分の出来ることはないという感覚

という点で共通しています。

以下に示したものにも例がたくさんあると思うので、基本的要件を満たしているか?という点で自分の学習性無力感について考えるきっかけになれば嬉しいです。

 

学習性無力感の例

パートナーの暴力にさらされ続け、逃げることを諦めた人

親による精神的な暴力を受け続け、大人になって経済的自立ができるにも関わらず親に抵抗しない子供

・面接に落ち続けたことで、『何をやっても就職できない』と諦め、ニートになった人

どんな提案をしても上司に却下され続け、働くやる気を失った人

・小象のころから逃げ出さないように重りをつけられていたせいで、大人になって重りを動かせるようになっても訓練場から逃げ出せないサーカスの象

 

パートナーや親の肉体的・精神的暴力から抜け出せない場合は、学習性無力感だけではなく共依存がかかわっているケースもあります。

共依存や毒親(子供の毒になる親)については、こちらを参考にしてみてください。

わかりやすい『共依存』の話-どうしてあの人から離れられないのか-

機能不全家族(家庭)の特徴、acとの関係、毒親って?割合や連鎖は?

 

学習性無力感に関する実験・研究

学習性無力感についてもっとも有名な1967年の実験と、その他の実験についてまとめました。

 

1967年の実験

学習性無力感を提唱するきっかけとなった実験で、提唱者のマーティン・セリグマンと神経科学者のスティーブン・マイヤーによって行われました。

実験は、犬を3つのグループに分けて行われました。

 

3つのグループの犬にさせること

グループ1.しばらく特定の檻に入れるだけで、特に何もしない

グループ2.電気ショックを与えられるが、レバーを押すと止まる

グループ3.グループ2の犬とペアになっており、自分のペアの犬がレバーを押した時だけ電気ショックが止まる。自分のレバーを押しても電気ショックが止まるわけではない。

 

このような体験をさせた後、それぞれの犬を別の装置に入れました。

その装置はパーテーションをジャンプすると電気ショックを免れる装置です。

パーテーションは、実験に使われた犬の大きさなら十分飛び越えられる高さです。

すると、それぞれのグループの犬で違う行動が観察されました。

 

3つのグループの犬の反応の違い

グループ1、グループ2:しばらくするとパーテーションを超えることを覚えた

グループ3:飛び越えられるはずのパーテーションを飛び越えず、泣くだけだった

 

このことことから

グループ3の犬は、最初の実験によって電気ショック(不快な刺激)はどうにもできないという無力感を学び、次の実験でも抵抗しなかった

と考えられます。

 

その他の実験・研究

スピーカーと音楽

1975年にはマーティン・セリグマンと医師のドナルド・S・ヒロトによる研究が行われました。[1]

人間を対象にした、騒音(不快な刺激)の中で作業してもらうというものです。

1つのグループはスイッチで騒音を切れる、もう1つのグループはスイッチを騒音で切れないグループとなっています。

スイッチで騒音を切れるグループは、実際には滅多にスイッチを押さなかったものの、それでも騒音を切れないグループよりも高い作業成績となりました。

『騒音を自分の力でなくすことができる』と知っているだけでも、騒音の影響を受けにくくなったのです。

 

学習性無力感の克服

学習性無力感は、『学習された』無力感です。

つまり、後天的なものということになります。

新しい学習を通して、克服することは十分可能です!

学習性無力感を克服するには

・今までの『どうせ無駄』と思っていたことの解釈を変えて、自分の力が及ぼした影響を再認識する

・無力感を生まない新たなパターンを学習する

ことが重要です。

そのための方法をいくつか紹介します。

 

学習性無力感を知る・気づく

朝の光と海

まずもっとも大事なポイントが、学習性無力感について知り、自分の特徴に気づくことです。

自分が自堕落なだけ

やる気がないのは性格のせい

と思っていませんか?

ですがその背後には、長年受け続けたストレスに疲弊した自分がいるのかもしれません。

 

どんな問題もまずは気づくことからスタート。

この記事を読んでくれたあなたなら、知ること・気づくことは十分できていると思います!

 

認知行動療法

カウンセリング

『どうせ無駄』と思う気持ちを変えつつ、新たに無力感を生みにくいルールを作る方法です。

認知行動療法は、簡単に言えば自分の中のルールを変える方法です。

何かが起きた時に頭に浮かんだイメージや考えを知って、自分を苦しませている部分を変えていきます。

プロの手助けがあるとやりやすいので、認知行動療法を行っている医師やカウンセラーを頼るのもよいと思います。

 

見方を変える

手を握る友人

『今までの解釈を変える』ためのステップの1つです。

学習性無力感が生まれるのは、『刺激→反応→結果』というプロセスの中で、いくら反応しても結果が見えないからです。

反応と結果がめったに結びつかないからこそ、自分の反応(行動)には意味がないと感じてしまいます。

 

ですが、本当に『結果』はなかったでしょうか?

望んだとおりの結果ではなくても、得たものはなかったでしょうか?

 

見方を変える例

・失恋したことで友達になぐさめてもらい、以前より仲良くなった

・ニートになったことで時間ができ、知識が増えた

・自分の出した企画は通らなかったけど、企画を作る力やまとめる力が身についた

 

光を当てる場所を変える、と考えるとわかりやすいかもしれません。

 

目標は細分化

ノートとペン

こちらは、『新たに無力感を生みにくいルールを作る方法』です。

大きな目標を立てると、実行も大変でつまづきやすくなります。

学習性無力感を長い間抱えていると、いくら昔の無力感に対する解釈を変えても、一度の失敗が響きやすいです。

失敗したことで、また学習性無力感を強化してしまう可能性があるんですね。

なので目標は小さく、小さく

1分だけやる、1回だけやるとかでも全然OKです!

 

どうやって?を考える

疑問

こちらも『無力感を生みにくいルール』作りに役立ちます。

人間の脳って、問いかけられると自然と答えを探してしまう特性があります。

 

だから、ダメだと思った時に

『何で自分はダメなんだろう?』

と何度も問いかけると、ダメな理由をどんどん提示するような物事をピックアップしてしまうんです。

自分はダメという気持ちは、学習性無力感を強化します。

 

そこで、もうダメかも…と思った時には、無理矢理でもいいので

『どうやったらうまくいくかな?』

と問いかけてみて下さい。

答えがすぐに出なくてもOKです。

ただ、考え方の方向性をシフトする気持ちでやってみましょう。

すると脳が『うまくいくための方法』を自然と探してくれます。

 

学習性無力感についてのまとめ

・学習性無力感とは…長期間の回避できないストレスにさらされたことで、回避や抵抗などの自発的な行動がなくなること

・客観的に見てそうではなくても、何をやってもムダという気持ちが本人の中にある

・克服していくいは認知行動療法、目標の細分化、見方を変えることがおすすめ

 

今回の記事で紹介したマーティン・セリグマンさんは現在はポジティブ心理学を提唱しています。

今回私がこの記事を書こうと思ったのも彼の動画を見たことがきっかけです!

気になる方はぜひどうぞ~♪

 

参考サイト
[1]http://www.appstate.edu/~steelekm/classes/psy5150/Documents/Hiroto&Seligman1975-learned-helplessness.pdf

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