自他境界があいまいだと起きやすいトラブルと解決法

自他境界があいまいだと起きやすいトラブルと解決法
この記事の読了時間: 951

自他境界というのは、『自分』と『他人』を分けているということ。

どこで自分と他人を区切るか=境界線の位置については必ずしも画一的な場所があるわけではなく、個々人によって違いがあります。

今回は、この自他境界があいまいなときに起きる問題点や改善法を紹介していきます。

スポンサーリンク


自他境界があいまいな場合の2パターン

一言で自他境界があいまいとは言っても、大きく2種類に分けることができます。

それは、

自分の領域を他人にまで広げる

他人の領域を自分にまで広げる

の2種類です。

 

自分の領域を他人に広げるタイプ

1つ目の自分の領域を他人に広げるタイプでは、他人の体や持ち物、考えも自分と同じか自分のものと思ってしまいます。

それゆえに、以下のような行動をしがちです。

他人の物ということがわからず、友達のものを勝手に使ってしまう

他人の体という感覚がなく、叩いたりぶつかったりしてしまう

他人の考えと自分の考えが区別できず、自分の考えは当然他人もわかってくれるという前提で話をする

 

他人の領域を自分に広げるタイプ

もう一方の、『他人の領域を自分の領域に広げるタイプ』では、自分と他人の区別がつかないがゆえに、他人を丸ごと自分のものとして捉えてしまいます。

それによって、こんな行動が見られやすいです。

他人の考えと自分の考えが区別できず、他人の考えを何でも受け入れてしまう

他人の問題や責任と自分の問題や責任の区別がつかず、他人の不始末の責任を引き受けてしまう

 

誰にでもある自他境界のあいまいさ

モノクロの女の子

自他境界のあいまいさは発達障害の特性の1つといわれていますが、発達障害でないから必ず自他境界がきっちり分かれているということでもありません。

そもそも発達障害自体が白黒で分けられるものではない以上、自他境界のあいまいさも白黒では分けられません。

『どこまでを自分のもの』と思うかは、個人によって違いますよね。

家族のものまでは断りなく使う方もいれば、家族だろうが何だろうが個人のものは個人のもの!という考えの方もいます。

また、恋人なんだからわかってくれて当然!と思う方もいれば、恋人とは言え他人だしなぁ…と思う方もいるはずです。

このように、様々な側面を考えた時に、自他境界のあいまいさは誰にでも少なからずあるといえるでしょう。

 

そのほかに、もともとは自分と他人がかなりしっかり分かれている人でも、ケースによってどんどん自他境界があいまいになることがあります。

例えばうつ病になると自責感が伴い、すべてが自分のせいと思ったりもします。

以前なら、『それはあなたの責任』と言えたことも、『もしかして自分も悪いんじゃないか?いやむしろ自分が全部悪いんじゃないか…?』という気になってくる症状もあるのです。

 

自他境界のあいまいさが引き起こすトラブル

自他境界のあいまいさが引き起こすトラブルは、やはり人間関係です。

ここでは

・自分の領域を他人に広げるタイプ

・他人の領域を自分に広げるタイプ

という2つのタイプ別に、考えられるトラブルを2種類紹介します。

 

反発→反発→反発…で人間関係がうまくいかない

夫婦喧嘩

これは、自分の領域を他人に広げるタイプの人に起きやすいトラブルです。

例えば、自分と相手の考えが同じだと思ってしゃべっていると、自他境界がはっきりしている相手は反発心を覚えます。

『こちらにも考えがあるんだけど!』という感じです。

ですが、自他境界があいまいな人からすると『あなたにはあなたの考えがある、私には私の考えがある』ということがわかりません。

『なんで一緒じゃないの?』という感じです。

自分と同じ、自分だと思っているものが勝手な意思を持ち始めたら怖いですよね?

いわば、自分の手足が勝手に意思を持って動き始めたようなもので、当惑するのは当然ともいえます。

 

並行のレールライン

会話のベースが『私とあなたの意見は違う』と『私とあなたの意見は同じ』となっているので、いつまでも会話は平行線です。

平行線の会話の中で、『なんで人の意見があるってわからないのか』『なんで自分と同じではないのか』と反発に反発を繰り返し、お互いに悪感情を抱くこともあります。

自他境界があいまいな人にとっては、違う意見を言われることは否定されている・責められていると感じることもあるようです。

そのような人間関係が繰り返されることで、自他境界があいまいな人は、警戒心を強くしていきます。

・どうせ理解されない

・みんなが自分を責める

といったように、対人関係に自信を持てなくなり、対人関係そのものを避けたり、後述する『自分をなくして相手に尽くす』といった方法をとったりします。

 

『自分』がなくなり、相手に尽くすだけの人格になる

こちらは、他人の領域を自分に広げるタイプに見られがちなトラブルです。

例えば

パートナーの言いなりになってしまう

自分の生活を差し置いてまで家族の感情ケアに時間を費やしている

何でもかんでも友人の決定に従っている

などです。

以前紹介した共依存者の特徴にも、他人の責任を背負い込んでしまう点が挙げられています。

わかりやすい『共依存』の話-どうしてあの人から離れられないのか-

こうした、他人の責任を引き受ける行為は様々なメンタルヘルスの問題を引き起こします。

例えば仕事の場面で他人の責任を引き受け続けると、過労につながります。

過労からのうつ病、パニック障害、適応障害などで就労が難しくなるケースも考えられるでしょう。

両親や恋人の感情ケアをしている方は、慢性的なストレスに悩まされる羽目になります。

ストレスによる食行動の問題、睡眠障害、各種気分障害や不安障害に罹患するかもしれません。

常に誰かの感情ケアをしている人は、『感情のごみ箱』にされている状態です。

それがわかっていても、相手の問題を自分の問題と感じ続ける限り、離れるのは難しいのです。

もしも相手が何らかの依存症になっている場合では、相手の依存症をさらに悪化させることにもなりかねません。

氷の中にあるビール瓶

 

また、他人の行動や責任を自分の中に受け入れることは社会的に容認されやすい環境のため、自分自身が問題点に気づかないリスクがあります。

例えば『共同体の責任』『保護者としての責任』は社会で必要とされます。

会社で上司が部下のミスをカバーするのは当然ですし、親が未成年の子供に安全のためのルールを設けるのは当然という考え方があります。

むしろ部下のミスをまるきりカバーしない上司は責められますし、会社にいてもらっても困るタイプです。

子供をほったらかしにして自分のことだけやっている親は、時々白い目で見られたりもします。

それを考えると『他人の面倒を見て責任を取る』ことは、どちらかといえばいいことに見えるのです。

だからこそ、他人の責任を取り続ける人が抱えるストレスや問題点に周囲が気づくチャンスが少ないという問題も出てくるのではないかと私は考えています。

もちろん社会的に、親として…と考えたら必要なラインはありますが、適宜『自分を守れているか』『この人は無理をしすぎていないか』などをお互いに見守れる環境が出来たらいいなぁと思います。

 

自分と他人の境界線を引くために

現状で自分と他人の境界線をうまく引けていないなぁと感じる方にいくつかおすすめの解決法をまとめてみました。

 

自分と他人を視覚で区別する

空に手をかざす

ここまでは自分でここまでは他人、というのは感覚の問題です。

なので、感覚という側面から自分と他人を別のものとして意識してみましょう。

今、手のひらを空に向けたり床に向けたりして手首を動かしてみてください。

それを自分の意志ひとつでできる(ことが多い)のが、『自分の体』です。

自分の意志とは関係ない動きをランダムにしているのが、他人です。

他人は自分の意志で動かせるものではないということを忘れかけた時、このエクササイズをやってみてください。

これによって、感覚で『他人と自分』を実感できます。

 

もう1つのポイントが、『共有で使うもの』をできるだけ減らすことです。

家族や恋人などとの間で境界線があいまいになる場合に有効な方法です。

共有で使うものはできるだけ減らして、個人のスペースや個人のものを増やします。

個人のものは個人のスペースで保管することで、視覚的に他人と自分を見分けやすくなります。

 

自分と他人を精神的に区別する

白い犬と猫

今度は、自分と他人を精神的な側面で区別する方法です。

ものや体と違って目で見えるものではないので、考え方の工夫が必要です。

 

まずは、自分の領域を他人に広げようとしてしまう傾向のある方におすすめのやり方です。

何か自他境界のズレで他人との問題が起きるケースを事前にいくつか想定しておきます。

例えば自分の考えが相手と同じと考えることで問題が起きやすい場合は、そういった会話になる前に『違って当然』『正しさはない』と心で唱えてみましょう。

一度火が付くと、どんな人でも自分の考えが正しいと思いたがりますし、相手を論破してやりたいと思ってしまいます。

そうなる前に、予防線を張っておきましょう。

 

違って当然という感覚がわかりにくい場合は、犬と猫を想像してみてください。

犬と猫は違う生き物で、好みはありますがどちらが正しい生物かはありませんよね?

犬が猫と遊んだりはしていても、犬の思い通りに猫が動いているわけではありませんよね?

違って当然、ということは常に意識しておきましょう。

同時に、以前『違う意見によって責められた気分』を味わっているならそれを癒す手段も必要と思われます。

 

チェックマークと手

次に『他人の領域を自分に広げてしまうタイプ』の方は、『しなきゃいけない』をチェックするのがおすすめです。

他人に完全に飲まれていると、『この人の面倒を私が見たいからやっている!』と思ってしまうケースもあるので一概には言えませんが、その前で立ち止まれるなら一度考えてみましょう。

『これをしなきゃって思っていないか?』

ということです。

続いて、こう考えます。

『本当に自分でなければいけないのか?』

『ほかにできる人はいないか?』

『(トラブルの原因である)本人がすべきことではないのか?』

と、意識を自分以外に向けます。

 

先ほどの犬と猫の例でいえば、犬と猫は違う生き物ですから、犬が遊ぼうとちょっかいをかけても、猫はそれに従わなくていいんです。

猫はパッと犬の横をすり抜けて外に気ままなお散歩に出る権利があります。

人間であれば言葉が通じるので、『また今度』『今は無理』と言っていいんです。

『しなきゃいけない』と思っているもののうち、簡単なものからどんどんやめていきましょう!

 

自他境界のあいまいさによるトラブルは早めに防いで、よい関係を保ちたいものですね♪