パーソナリティ障害について知ろう-特徴、種類、原因、共通点-

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      2017/05/20

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今回は新カテゴリの1つであるパーソナリティ障害について。

今後10種類のパーソナリティ障害を紹介していく予定ですが、まずパーソナリティ障害とはいったいどういう特徴を持っているのか、分類はどうなっているのかといったところを紹介します。

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パーソナリティ障害とは?

パーソナリティ障害とは認知の方法や感情・衝動コントロール、対人関係様式に偏りがあることで本人・周囲に問題を引き起こす精神疾患です。

『異常な』パーソナリティとも言われますが、『異常』の範囲はとても難しいですよね。

異常と正常の間にはきちっとした壁があるわけではなく、グレーゾーンもあります。

その上、『正常』自体が時代や地域、政治、文化に左右されるので異常を決めるのはとてもデリケートな問題です。

なので、パーソナリティ障害を考える上では『本人や周囲の生活上の苦しみ』がよりより重要なポイントになってくるのかなと思います。

 

パーソナリティ障害を患う人の割合

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日本ではパーソナリティ障害の疫学を表す研究結果は私には見つけられませんでした。

アメリカ精神衛生学会が発表するところによれば、1年間の有病率は9.1%となっています。

厚生労働省の『みんなのメンタルヘルス』では、2004年のGrantsらによる研究結果である15%を頻度として紹介しています。

最近はパーソナリティ障害の患者さんが増えているとも言われます。

ですがDSM(精神障害の診断と統計マニュアル)ができたことで診断が以前ほど難しくなくなったという要素も考慮が必要です。

 

パーソナリティ障害の診断

パーソナリティ障害が現れる時期

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パーソナリティ障害の独特の対人様式、考え方などは小児期から青年期、成人早期までには始まります。

遅くても20歳そこそこで特徴的な考え方や人との接し方のパターンが出てくると考えてください。

 

薬物の影響などを受けていない

精神障害の診断に使われるDSMでは、パーソナリティ障害が薬物や頭部外傷の影響を受けていないことも条件とされています。

また、ほかの精神疾患によるものではないこともパーソナリティ障害を診断するときに大事なポイントの1つとなります。

 

パーソナリティ障害の共通点

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当サイトのパーソナリティ障害のカテゴリで紹介する10のパーソナリティ障害は一見してみてみるとバラエティに富んでいます。

嘘を恒常的につくタイプ、非行や暴力などをいとわないタイプ、引きこもり、人嫌い…などいろんなタイプがあります。

ですがその根底には『自分を大切にできない』という共通点があります。

精神科医の岡田尊司さんによれば、パーソナリティ障害は『自己愛の障害』とのこと。

『自分を大切にできない』をベースに、それぞれの環境に適応しようと努力した結果がバラエティに富んだパーソナリティ障害です。

 

パーソナリティ障害の種類

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DSMでは、10種類のパーソナリティ障害を3つの群に分けています。

とはいってもいくつかのパーソナリティ障害の特徴を同時に持っている方もいます。

では早速、3種類の分類を見てみましょう。

 

A群、奇異型のパーソナリティ障害

妄想性、スキゾイド(シゾイド)、統合失調型(スキゾタイパル)

A群は周囲から見ると『変わってるなぁ』という印象を与えるタイプ。

どちらかといえば閉じこもりがちで内向的、ひょうひょうとしているように見えることもあります。

愛知県にある『いそべクリニック』の院長である磯部潮さんは著書で以下のように述べています。

精神分裂病(統合失調症)という診断を下したいのだけれど、精神分裂病の診断基準を満たすほどでもない患者さんに対して、A群の「人格障害」を考慮に入れるのです。

磯部潮 (2003).人格障害かもしれない どうして普通にできないんだろう 81

 

B群、劇場型のパーソナリティ障害

反社会性、境界性、演技性、自己愛性

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B群はパーソナリティ障害の代表的存在と言えます。

パーソナリティ障害の歴史は、20世紀初めに神経症と精神病の間(境界)にある概念『境界例』からスタートしています。

境界例の概念をもっと狭めて主要な部分だけを残したのが境界性パーソナリティ障害です。

B群のパーソナリティ障害は感情の激しさ、衝動性の高さ、それに伴う行動化が特徴です。

 

C群、不安型のパーソナリティ障害

回避性、依存性、強迫性

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C群のパーソナリティ障害はA群、B群に当てはまらない除外群です。

一応C群という仲間ではありますが、他の群に比べると同じ群の中にあってもバラエティに富んでいます。

A群、B群に比べて障害の程度としては軽く、対人関係も3つの群の中では安定しているほうです。

 

パーソナリティ障害の原因は?

パーソナリティ障害の原因は遺伝、環境の2つにあるとされています。

A群の一部のパーソナリティ障害は遺伝との関連性が指摘されることが多いです。

また、不安を伴うC群のパーソナリティ障害もパーソナリティ障害そのものの遺伝ではなく不安になりやすい体質の遺伝が指摘されています。

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環境については自己愛をはぐくむ時期である幼少期の体験はもちろん、その後のトラウマ的体験も影響してきます。

例えば長期・短期を問わずいじめに遭った、事件に巻き込まれたといったことです。

トラウマ的体験だけが影響するわけではなく、遺伝的影響、養育の問題などと組み合わせられるとパーソナリティの問題につながります。

そのほか、もっと大きな意味での環境として『社会構造の変化』なども挙げられます。

いずれにしても言えることは、遺伝的な要素に加えてトラウマ的体験や幼少期の体験によって傷ついた自己愛を抱えた方が、生きるための戦略として特異なパーソナリティを発達させたということです。

細かい点は今後1つ1つのパーソナリティ障害を見ていく中で紹介しますが、どれもこれも生きる知恵の1つです。

 

パーソナリティ障害に関するQ&A

Q.パーソナリティ障害と愛着障害の関係は?

A.愛着障害はパーソナリティ障害のリスクを高めます。

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愛着関係が築かれないということは、当然ですがお子さんの『自分を愛する力・認める力』に影響します。

特に著しく対人関係が不安定になる境界性パーソナリティ障害(B群)の場合は、親子の愛着関係が原因として指摘されることも。

 

Q.パーソナリティ障害と人格障害の違いは?

A.同じものを指しています。

以前は人格障害と呼ばれていたのですが、2000年-2010年の間に各種の機関で呼び方が変わりました。

人格に問題というとなんとなく不可逆的で、イメージが悪い感じがしますよね。

ちなみに英語圏では最初から『Personality Disorder』という呼び方です。

 

Q.パーソナリティは性格とは違う?

A.パーソナリティ(人格)の方が幅が広いです。

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性格は感情・行動の特性を表す言葉で、どんなことを考えどんなことをよくするのか、どんな気分を多く感じるかといった点に特性が現れます。

一方でパーソナリティ(人格)には対人関係の特徴、社会生活も含めた総合的な特徴が加わります。

どんな風に人と接するのか、どんなふうに社会に関わっていくのかといった面をも含むのがパーソナリティ(人格)です。

 

参考文献・サイト

岡田尊司(2004)『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』PHP新書

岡田尊司(2004) 『人格障害の時代』 平凡社新書

磯部潮(2003)『人格障害かもしれない どうして普通にできないんだろう』 光文社新書

パーソナリティ障害|知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス

Any Personality Disorder|National Institute of Mental Health

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