心の病で労災認定497人!精神障害と労災について調べてみた。

記事の画像はイメージです。特定の人物を指すものではありません。

      2017/07/17

この記事の読了時間: 430

先日Yahooニュースで見たのですが、『心の病』で労災認定を受けた人が497人と過去最多になったとのこと。

そこで、精神障害と労災認定について簡単に紹介していきたいと思います。

労災の認定基準や補償状況、どんな職業の人が労災請求をよく出しているのかなどをまとめてみました!

ちょっと見にくいですが、表も作成してみたので現状の労災認定を考える際の参考になれば幸いです。

スポンサーリンク


労災の認定基準は3つ

精神障害の労災の認定基準は3つあります。

まず、認定基準の対象になる精神障害を発病していること。

そしてその発病前大体6か月に『業務による心理的負荷』が認められること。つまり、これが業務との関連性が認められるってことですね。

さらに、業務以外の心理的負荷・個体側要因が認められないこと。

家族の問題やもともと病気になりやすい体質だった場合は、業務との関連性が強いとは言えなくなってしまうのです。

 

認定基準の対象になる病気はICD-10のF2-F9

210

認定基準の対象になるのはICD-10のF2からF9までの病気で、統合失調症やうつ病、うちのサイトではすっかりおなじみの不安障害、ストレス障害なども含まれています。

業務上の心理的負担・負荷という点を考えると急性ストレス反応(ストレス障害)などが多いようです。

 

業務との関連性は出来事や労働時間から判断

一番大事な業務との関連性については、『特別な出来事』の有無や長時間労働などから判断されます。

具体的出来事には36項目があるので、それぞれを照らし合わせて『弱・中・強』の程度を含めて業務との関連性を見ていきます。

 

平成26年度の労災補償状況は?

平成26年度の労災補償状況について、詳しくは厚生労働省の資料を参考にしてください。ここでは、ざっくりとした傾向や筆者が気になった点を紹介します。

まず平成22年度からの5年間で、請求件数・決定件数が増えています。(支給決定件数は平成24年度が25年度よりも高い)

請求件数は労災を請求した数、決定件数は、労災である/労災ではないの決定が出た数、支給決定件数は労災として認められた数です。

154

 

平成26年度は1456人の請求、1307件の決定(26年度以前の請求分も含む)、決定件数が497人となっています。

認定率は38%ですが、実は平成24年度を除いてはここ5年間で一番高い認定率です。

ただ注目したいのは、自分で死を選んでしまった(あるいは未遂の)方の認定率は47.1%とさらに高くなっていること。

それでも、労災申請をした人の半分も労災とは認められていないということになりますね。

 

ほかの疾患での労災補償と比較

脳・心臓疾患の労災補償状況は平成26年度は請求件数763、決定件数637、支給決定が277となっています。

脳・心臓疾患の労災認定率は43.5%で、精神障害より5.5%高いのですが、以前よりもその差は埋まってきています。

平成22年度は脳・心臓疾患の労災認定率が精神障害の労災認定率に比べて11.9%も高かったんです。

なので、徐々に精神障害と労働災害の関係も認められてきてはいると感じました。

 

労災請求の多い職業は?

平成26年の労働力調査年報2を参考に『就業者の人数に対して労災請求が多い産業はあるか』を調べてみました。

gurahu

見えにくい場合は画像クリックで大きくなります。パソコンだと虫眼鏡に+マークでさらに大きくなります。

上図グラフを見てみると、運輸業・郵便業、医療・福祉、情報通信業については構成比に比べて請求件数が多く、なかでも医療・福祉は請求件数に対して支給決定数が少ないことがわかります。

 

医療や介護分野の職業は労働と疾患の関係が確認されにくいようです。

ちょっと古いのですが独立行政法人の労働政策研究・研修機構が2011年に発表した『職場におけるメンタルヘルスケアについて(郡司正人)』3によれば、メンタルヘルスに問題を抱える社員が多い産業は情報通信業、医療・福祉がTOP2となりました。

患者が少ないのに労災請求が多いというわけではなく、どの職業でもほとんど似たような割合で労災請求があるということです。

 

注意したい年齢は?

厚生労働省が公開している資料には年代別の労災請求件数、支給決定件数もあります。

平成26年度も、30-49歳の『働き盛り』の年代がメンタルに問題を抱えて労災請求に至るケースが多かったです。

この傾向はここ数年は変わっていません。

 

1.http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11402000-Roudoukijunkyokuroudouhoshoubu-Hoshouka/h26seishin_1.pdf
2.http://www.stat.go.jp/data/roudou/sangyo.htm
3.http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/2011100304/resume/gunji.pdf

 - コラム・書評, メンタル関連の法制度・手続き