タナトフォビアの症状や克服法、病院での治療、芸能人まとめ

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      2017/05/20

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高所恐怖症や月恐怖症などさまざまな恐怖症がありますが、その1つであるタナトフォビア。

別名『死恐怖症』とも言われるタナトフォビアの症状や克服方法、治療、タナトフォビアを告白した芸能人を紹介していきます。

私自身もタナトフォビア的な症状に悩まされたので、そのお話もしつつタナトフォビアについて知る機会にしていきましょう!

それではさっそく、タナトフォビアって何?というところから紹介します。

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タナトフォビア(死恐怖症)って何?

暗闇の中の街灯

タナトフォビアとは死そのもの、死に関連するものへの恐怖症です。

英語ではthanatophobia、もしくはDeath anxietyと呼ばれています。

タナトフォビアのタナト(thanato)はギリシア神話の死の神『タナトス(thanatos)』から来ています。

ちなみに精神分析学の用語で『死へ向かおうとする欲動』を意味する『タナトス(デストルドーとも)』も同じ神様の名前から来ています。

 

フォビア(phobia)は『恐怖』を意味するポボスから来ており、恐怖症はほとんどが英語で『~フォビア』と呼ばれています。

詳しく分けると死恐怖には『タナトフォビア』と『ネクロフォビア』があります。

ネクロ(necro)も死を意味しますが、ネクロフォビアの場合は『他人の死』というニュアンス、タナトフォビアは『自分の死』というニュアンスです。

ただ、実際のところは全部ひとまとめでタナトフォビアと呼ばれることが多いです。

 

タナトフォビア(死恐怖症)の症状は?

十字架と女性

タナトフォビアの症状は『死に対する想像とそれに付随する身体的・精神的な不安症状』です。

具体的な症状をいくつか紹介していきます。

 

タナトフォビアの精神症状

・死後すべてがなくなるのが怖くて、大切なものや好きなものを作れない

・死について考えただけでいてもたってもいられないくらい怖い

・他人(時に親しくない人も含めて)の死を考えると、ひどく不安になる

・死んだらどうなるかわからないという不確実性が怖い

・毎日体が老化していくという事実が怖い

・ドラマで人が死ぬシーンや有名人の訃報を伝えるニュースが見れない

・気付けば死について考えて、不安になったりむなしくなったりする

 

あと、心気症(実際は特に体は悪くないのに重病にかかっていると感じる病気)的な側面を持つ方も多いようです。

ちょっとした風邪や歯痛が『死』につながるんじゃないかと考えてしまいます。

マスクをした女性

 

タナトフォビアの身体症状

上で紹介したような恐怖感・不安感によって体にも症状が出ることがあります。

・不眠症もしくは過眠症

・動悸

・食欲不振

・緊張によって体が凝り固まったことによる筋肉痛やコリ

・パニック発作や過呼吸発作

 

不安障害によく見られる自律神経系の症状、パニック発作などが代表的です。

不安と緊張に関わっているので、身体的な症状は同じになることが多いです。

上で紹介した症状が慢性的に出る方もいれば、ふとしたときにひどいパニック発作などが出る方もいて千差万別ですので、参考までにお願いします。

 

タナトフォビア(死恐怖症)の診断基準

黒色の聴診器

タナトフォビア(死恐怖症)には精神疾患の診断マニュアルであるICD-10とDSM-5の診断基準が使われるのが一般的です。

ICD-10の場合は『特異的(個別的)恐怖症』、DSM-5の場合は『限局性恐怖症』の診断となります。

 

ICD-10による特異的(個別的)恐怖症の診断基準

確定診断のためには、以下のすべてが満たされなければならない。

A.心理的状況あるいは自律神経症状は、不安の一時的発現であり、妄想あるいは強迫思考のような他の症状に対する二次的なものであってはならない。

B.不安は、特定の恐怖症の対象や状況の存在に限定して生じなければならない。

C.恐怖症的状況は可能な限り回避される。

 

DSM-5による限局性恐怖症の診断基準

A.特定の対象または状況(例:飛行すること、高所、動物、注射されること、血をみること)への顕著な恐怖と不安

注:子どもでは、恐怖や不安は、泣く、かんしゃくを起こす、凍りつく、または、まといつく、などで表されることがある。

B.その恐怖の対象または状況がほとんどいつも、即時、恐怖や不安を誘発する。

C.その恐怖の対象または状況は、積極的に避けられる、または、強い恐怖や不安を感じながら堪え忍ばれている。

D.その恐怖または不安は、特定の対象や状況によって引き起こされる実際の危険性や社会文化的状況に釣り合わない。

E.その恐怖、不安、または回避は持続的であり、典型的には6ヵ月以上続いている。

F.その恐怖、不安、または回避が、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を起こしている。

G.その障害は、(広場恐怖症にみられるような)パニック様症状または他の耐え難い状況:(強迫症にみられるような)心的外傷的出来事を想起させる物:(分離不安症にみられるような)家または愛着を持っている人物からの分離:(社交不安症にみられるような)社会的場面、などに関係している状況への恐怖、不安、および回避などを含む、他の精神疾患の症状ではうまく説明されない。

 

タナトフォビア(死恐怖症)の治療

 

心理療法を利用した治療

椅子に座る女医

タナトフォビアを含む単一恐怖(高所恐怖症など)の治療法は基本的に『曝露(暴露)療法』です。

つまり高所恐怖症なら敢えて高いところに、ヘビ恐怖症なら敢えてヘビのいるところに行きます。

そして不安な状態に慣れていくというのが主な治し方です。

ところがタナトフォビアの場合1回1回自分が死ぬわけにはいかないので、死について考えさせる映画を見たり訃報を見るのに慣れたりするのが曝露(暴露)療法となります。

 

その他に精神療法としては認知行動療法が、アメリカでは宗教カウンセリングを取り入れているケースもあります。

また、トラウマによって死への恐怖が引き起こされている場合はPTSDの治療法であるEMDRやEFTが用いられることも。

いずれにせよ、しっかりとした治療を受けるのであればプロの下での治療が望ましいです。

EMDRについては『日本EMDR学会』のページがわかりやすいです。(外部サイト)

 

日本EMDR学会

 

薬物療法はあまり行われない

一方で、薬物療法はタナトフォビアへの治療法として行われることはあまりありません。

心理療法に比べて効果が低いからです。

ただし、例外的に恐怖が緩和されていない状況で恐怖症を短期間コントロールするために『ベンゾジアゼピン系』の抗不安薬が処方されることがあります。

例えば暗所恐怖症の人が致し方なく洞窟に入ることになったとか、そういった状況です。

タナトフォビアの場合も、症状が良くならないうちに肉親が亡くなったといったケースでベンゾジアゼピン系が用いられる可能性はあります。

ベンゾジアゼピン系のお薬は離脱症状や薬物耐性などの問題があるので、かなり限定された使用になると考えられます。

主なベンゾジアゼピン系の薬について一覧にしたページがあるので、そちらも参考にしてみてください。

 

主なベンゾジアゼピン・SSRI・タンドスピロン

 

タナトフォビア(死恐怖症)の芸能人

タナトフォビア(死恐怖症)を告白した芸能人ってあまり多くはないようで、今回あれこれ検索して見つかったのが1例だけでした。

リタ・オラ画像出典:https://commons.wikimedia.org

その貴重な1人がイギリスの歌手であるリタ・オラさん。

かつてコソボ難民として保護された経験のあるリタさんは7歳の時にタナトフォビア(死恐怖症)によるパニック発作を経験したとのこと。

墓地に友達と遊びに行ってかくれんぼをしていたとき、誰も見つけてくれずに『幽霊に連れて行かれる』と恐怖を感じたそうです。

なお、2015年の時点ではセラピーに通っているとも明かしていました。

もともとパニック障害を患っていたそうですし、幼い頃の経験の影響もあるのかもしれません。

 

タナトフォビア(死恐怖症)の体験談

逆光のぬいぐるみ

今回このようにタナトフォビア(死恐怖症)について扱った背景には、私自身が2回ほどタナトフォビア(死恐怖症)に悩んでいたからという理由があります。

同じ症状で悩んでいる人と気持ちをシェアできたらいいなと思って体験談も書くことにしました。

 

私のタナトフォビア1.小学校6年生

原因・きっかけ

・母方の祖父が現代にしては割と若くして亡くなったことを聞いて死について考え始める

・抽象的な概念自体に興味を持ち始めた年頃でもあった(宇宙のはじまりとか?)

 

症状

・母に祖父のことを何度も聞く

・不安すぎて頭を抱えて布団の上で悶絶する

・勉強に身が入らない

・人生最後の言葉が『おやすみ』の『み』になるので、『み』の発音を練習した

 

治ったきっかけ

・中学生になって忙しくなったため、気が逸れた

 

私のタナトフォビア2.大学生-社会人

原因・きっかけ

・母がある日『ぽっくり死にたい』と言い出した

・うつ病だった時期もあり、母なしで生きていけないと本気で感じた

 

症状

母が生きているかを夜中に確認しに行く

・また『み』の発音練習をする

・その他不安障害と併存する症状

 

治ったきっかけ・方法

・自分なりの死生観を持てるようになった

・生活の基盤ができて母なしでも経済的には生きていけるようになった

・治るまでは毎日、敢えて新聞のお悔やみ欄を見たりした

・終活セミナーに通った

 

hanami1個人的にはやはり恐怖症の対処法である曝露療法が有効だなと感じたほか、大人であれば自分なりに死生観を確立していくことも大事かなと思っています。

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