転移や逆転移とは-精神科医を好きになってしまう理由は陽性転移?-

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      2017/07/17

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今回は精神科医やカウンセラーなどの治療者と患者・相談者のちょっと不思議な心の動きである『転移・逆転移』について紹介します。

転移・逆転移とは何か、転移と恋愛の違いは何か、もしも精神科医やカウンセラーを好きになった時の行動は、などなど。

では早速、見てみましょう!

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転移とは患者側からの特別な感情

転移とは、患者・相談者側から精神科医・カウンセラーなどの治療者側に向けられる特別な感情です。

元々はフロイトを中心とした精神分析の世界から生まれた言葉です。

そんな転移は2種類に分けられます。

 

陽性転移…ポジティブな感情、愛情や尊敬、恋心など

陰性転移…ネガティブな感情、憎しみや嫌悪など

 

転移が2つあるとは言っても陽性から陰性に変わったり、陰性から陽性に変わったりするわけではありません。

潜在的には治療者に対して陽性/陰性の両方の気持ちを持っており、どちらの面が出ているかに過ぎないのです。

 

転移のメカニズムと治療への影響

転移は感情・態度の再現

メンタルヘルスの積み木

精神分析的には、転移は

幼児期に接した誰か(主に養育者)への感情・態度の再現

と言われます。

このようなことが起きる背景には未解決の精神的問題・課題があります。

つまり、治療者の側からすれば転移を通して未解決の問題や課題を把握できるのですね。

そのため、転移を治療に利用することはままあります。

そこに解決の糸口があるかもしれないからです。

 

陽性転移と転移性治癒

ヒーリングする女性

治療者に対してのポジティブな気持ち、陽性転移は一時的な疑似治癒をもたらします。

本人としては気持ちの問題がかなり軽くなったように感じるケースも。

治療初期に起きやすいこの現象は、根本的な治癒とはまた違います。

治療者との関係に依存することで起きている可能性があり、治療者との関係次第で症状の出方が変わってしまう恐れがあるからです。

 

陰性転移と治療困難

湖と闇

陽性転移とは逆にネガティブな気持ちを治療者に抱く陰性転移。

『この医者は嫌い』『このカウンセラーが憎い』という気持ちになります。

そのため、カウンセリングや診察に行かなくなる恐れがあるのが、治療者から見た厄介な部分です。

本当に合っていない場合もあるので何とも言えませんが、基本的に患者側はネガティブな感情を治療者に持っても一時的に様子見するのがよいです。

 

逆転移とは治療者側からの特別な感情

医者と聴診器

転移とは逆に、治療者側が患者・クライアントに抱く特別な感情を逆転移と呼びます。

逆転移は、転移に応えるように起こります。

ポジティブでもネガティブでも、転移の表現に対する感情反応が逆転移です。

 

逆転移は役立つか、不要か

カウンセリング

逆転移は、広い意味では患者の理解に役立ちます。

今までにどんな人間関係を築いてきたか、何を望んでいるのかを知るカギになるからです。

一方で、治療者自身が転移を起こしているような逆転移は、治療の邪魔になってしまいます。

治療者が転移を起こすとは、治療者自身が過去に抱えていた感情を患者に再現するということです。

 

どのみち逆転移は無意識で起きるものなので、より早く気づき、適切な対応をすることが必要です。

プロは分析を通して自分自身の洞察をしっかり行い、逆転移に気づけるような教育を受けています。

 

陽性転移と恋愛の違い

陽性転移と恋愛の違いや精神科医を好きになった時の対応については、定義ではなく私個人の考えを書きますね。

もちろんいろんな考え、いろんな答えがあると思うので、参考までにとどめておいてください。

 

陽性転移も恋愛感情の一種

恋愛感情とカップルの手

私は、陽性転移も広い意味では恋愛感情と考えます。

恋愛感情って、特定の人に特別な好意を寄せることですよね。

ということは陽性転移も恋愛感情で間違いないのでは、と思います。

尊敬とか敬愛とかとは違った意味合いを含むんだ!と患者・相談者自身が思っているなら、それは恋愛感情です。

なので、精神科医やカウンセラーなどの治療者が好きっていうのも全然ありです。

 

相手が自分を傷つけない恋愛

カップルの喧嘩と心の傷

気持ち自体は治療者以外に恋するのと変わりませんが、関係性という面で見ると違いがあります。

医師やカウンセラーは仕事として対応しているので、あなたを不用意には傷つけません。

陽性転移がその他の恋愛と違うと言われるのはここだと思います。

 

傷つけられるリスクが少ない関係=特別、というのは誰にとっても言えます。

ですが特に過去に辛い経験を味わったなら、傷つけられない関係の特別性はより重要なものに感じられるはずです。

今まで誰にも話せなかった過去の痛みや辛さを話せることも特別感の原因になりますし、安心を呼び起こします。

つまり、『不用意に傷つけられない関係=特別、安心=好き』という構造が、治療者と患者・相談者の間には考えられるということです。

 

ですがこの『特別感』は恋人・夫婦になったら消え去るかもしれません。

医師もカウンセラーも人間なので、私生活では気持ちに任せて怒ることや泣くこともありますしね。

 

精神科医を好きになったらどうすればいい?

気持ちを否定しない

ハグをする女性

誰かに対して特別な気持ちを持つことは、恥ずかしいことやダメなこと、非難の対象ではないです。

先生を好きでいる権利があなたにはあるし、先生を好きになることは変なことではありません。

なので、自分の気持ちを否定したりしないでください。

先生のことを好きになってもいいし、自分のものになったらいいなと思うことは自由です。

何を考えても、思っても大丈夫です。

自分の気持ち、先生を好きと思う自分自身を認めましょう。

 

告白はありか、なしか

ハートを持つ手、告白

私は条件付きなら告白はありでもよいと思っています。

その条件とは…

徹底的に自分の気持ちを認めて、それを相手にわかってほしいとき

もしくは

自分でも陽性転移を疑っているとき

です。

 

自分で気持ちを認めてそれですっきりする方も知り合いにはいました。

ですが認めた気持ちを誰かに聞いてほしい…と思うなら相手に告白するのはありです。

あるいは自分でも『陽性転移なんだろうな…』と感じるときです。

陽性転移だと薄々感じているなら、1人で対処するよりプロの力を借りた方が早いです。

 

ただ、告白するときにはポイントがあります。

それは

付き合うなどの実際的な行動を求めないこと

です。

医師やカウンセラーが患者・相談者と付き合うのはリスクが高いです。

倫理の問題、評判の問題、恋愛関係になることで治療に及ぼす影響…さまざまな問題が立ちはだかっています。

 

付き合いたいときは治療終了を待つ

カップルのデート

告白するときには実際的な行動を求めないっていうけど、それじゃ嫌だ!という方もいますよね。

もしも付き合いたいと思うのであれば、時期を見誤ると大変です。

上にも書いたように、医師と患者という立場ではあまりにもリスクが高いからです。

ではどうするの?と言うと、『個人対個人』になるチャンスを作るしかありません

医師を変えて治療関係を終える、治療終了後にアプローチするなどの方法があります。

元患者にどれくらい心を開いてくれるのかは、千差万別です。

 

気持ちを逸らすのも有効

カメラを持つ女性

あんまりにも先生のことで頭がいっぱいになりそうなとき、気持ちが先走っていろんなことをぶちまけそうなときもあると思います。

そんな風になる前に、気持ちを逸らしておくのも有効です。

好きなことや好きな人を考えてみてください。

同じ人やものは2度登場させてはいけません。

1番は先生でも、2番・3番には違うものや違う人が入りますよね。

心の余裕のあるうちに2番、3番、4番、5番…と試していきましょう。

そのことだけで頭がいっぱいにならず、冷静な判断力を取り戻せます。

 

まとめ

ロープで表現された愛

・転移は患者・相談者が治療者に抱く特別な気持ち

・ネガティブな気持ちの転移は陰性転移、ポジティブな気持ちの転移は陽性転移

・転移は幼い頃の養育者への感情や態度の再現

・逆転移は治療者から患者・相談者への特別な気持ち

・治療者自身の過去の気持ちの転移が患者・相談者に対して起きている場合、治療に弊害が出る危険性もある

・陽性転移と恋愛の違いは『特別感』のある関係性で起きるということ

 

精神科医を好きになったら

・まずは自分の気持ちを否定せず認める

・気持ちを認めてもすっきりしなければ医師に『こういう気持ちがある』と告白する

・付き合うのは『医師-患者』の関係から『個人-個人』になってから

 

特に恋愛に関しては言うは易し、行うは難しという面がありますよね。

本当に千差万別・十人十色の人間関係があるとは思いますが、少しでも参考になったり気持ちが楽になれば嬉しいです。

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